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7.親愛なる君へ【モトキ×従妹】 ページ17

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それはある日の昼下がり

自粛ムードでどこにも行けないから
家にいた日のこと


「ねぇ、A」

『んー?』

「これ何に見える?」

『…あれでしょ
Undertaleに出てくる偽善の時のフラウィ』

「…さすが」


俺が色粘土で作ったキャラを
ピンポイントで当ててくるのは従妹のA

自粛ムードになる前から
暇な時は遊びに来てたから
家に二人でいることもよくある


『ヨッシー作って』

「えー、緑足りるかなぁ」

『どんなサイズの作ろうと思ってんの』

「大きいほう良くない?」

『出来る大きさでいいよ』


俺にリクエストをしながら、自分は何かを
黙々と作っている

横顔は真剣そのものだ

だけど俺等の間に流れる
のんびりとしたこの空気が好きで

真面目にAがやってる隣で
俺は頬が緩んでしまう


『何にやにやしてるの?』

「いや、なんかいいなぁ、って」

『なんだそりゃ』

「Aとこうしてるのが楽しいな、って」

『…それは良かったです』


ちらっと横を見ると、少し頬を赤くしてて

可愛らしいからその頬にキスをした


『む、こら』

「なんだよ」

『不意打ちズルい』

「したかったからしたの」

『それは本心なの?』

「本心じゃないなら、荒療治過ぎでしょ」

『…ほんとだ』



いつからこういう仲になったか、って
もう10年くらい前のこと

男子が苦手だけど、卒業前には彼氏は欲しい
ちぐはぐな高校生の頃のAが
俺に相談したのが始まり


『…モトキなら、平気なのに』

「そりゃあ、従兄だからじゃない?」

『じゃあ私とリハビリして』

「…なんだそれ」

『…従兄じゃなくて、男のひととして接して』


小さい時から接してきたAと
今更どうやって、とは思ったけど

街に出て、手繋いでデートの真似したり

家にいる時には抱き締めてみたり

恋人ごっこをして、試してみてた


その内、Aは自分なりに頑張って
本当の彼氏が出来たんだけど

何度かデートをしてみた結果
手を繋ぐと悪寒がすると言って


『…やっぱり無理』

「俺と練習したじゃん」

『…モトキ以外に触られるの、嫌』


そう言って、自分から俺の手を握ったから

あぁ、ホントに駄目なんだ、って分かった


「…じゃあ、リハビリ再開か」


それからまた俺等は一緒にいてみて

Aに再び彼氏が出来たんだけど
結局は俺とまたリハビリすることになって

色々試し過ぎたんだろう

Aは、本当に俺以外は駄目になってしまった

だから今も俺等は
無期限リハビリ中


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設定タグ:Fischer's , フィッシャーズ , 短編   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:奈々 | 作成日時:2020年9月28日 1時

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