13杯目 ページ15
『それ、どういう事ですか？』
そらる「.......」
『貴女方は.....！！.........私の何を知っているんですか』
勢いで立ち上がってしまったが、どうにもならないことを感じて項垂れた。
私は自分の名前も、年齢も、現実世界のことも何も知らないのに。
彼らは私のことをよく知っている。この夢を見ている理由も。
なのにどうして私には教えてくれないのか。
そらる「その.....ごめん」
『.....別に謝って欲しい訳では無いので』
目に浮かんでいた涙を拭い、そらるさんを見た。
そらるさんは立ち上がり、あの変な機械に近寄った。
疑問に思い、彼の後ろから手馴れた様子でコードを繋げていくのを見る。
「ん」と小さく呟き、マイクを渡してきた。
戸惑いながらもマイクを受け取ると頬を緩め、パソコンの電源を入れてソフトを起動させた。
そらる「はい、歌って」
『は？』
そらる「いいから」
『そんな事言われても何を歌えばいいか.....』
そらる「じゃあこれ」
静止も聞かずに、無理やり付けられたヘッドフォンから流れる音楽。
もちろん聞いた覚えなんてない。無いはずなのに.....
『(どうして歌詞が出てくるの.....？)』
口からスラスラと出てくるのは曲の歌詞。
うんうんと頷くそらるさんを見る限り、歌詞は合っているのだろう。
そらる「何となくわかった？オレが突然歌わせた理由」
歌い終わり、ヘッドフォンを外した私にそらるさんがそう問いかけた。
『現実で私は.....歌手？だったということですか？』
そらる「まぁそんな感じかな。.....オレもAのファンだったんだよ」
ふっ、と笑ったその表情が男性なのにとても美してくて、ドキっとしてしまった。
そらる「次の部屋はオレの相方がいるはずだから」
そう言ってそらるさんが扉を開けてくれた。
少しずつだが、「自分の正体」が分かってきた気がする。
早く全て知りたいという衝動と、知ってしまってはいけないという矛盾を抱えながら扉を抜けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 552人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこ - とてもよかったです！その後話がもっと欲しい！ (2021年5月28日 12時) (
レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - りかさん» コメントありがとうございます！前作も見てくださっているとか神様ですか.....！？更新ペース亀さんで申し訳ないですm(_ _)m (2019年9月23日 13時) (レス) id: c0d6c077f3 (このIDを非表示/違反報告)
りか - 応援してます。前作も見てます。更新頑張ってください((最近更新されてませんけど大丈夫ですか (2019年9月21日 21時) (レス) id: 5b04c87de6 (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - お鈴さん» コメントありがとうございます！口調がわからない人が多いので助かります...！またおかしな点などがあれば教えて頂けると幸いです。 (2019年9月4日 7時) (レス) id: c0d6c077f3 (このIDを非表示/違反報告)
お鈴(プロフ) - コメント失礼します！8話のあんくさんなんですが、関西弁担っになってますが、あんくさんは方言で話さないです。ご迷惑だったら申し訳ありません。 (2019年9月4日 1時) (レス) id: 97cb04aaf6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：京 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/mugi__kmg
作成日時：2019年8月26日 20時
