【歌い手】Finale【XYZ】

5杯目 ページ7

次はこの部屋、と言ってなるせさんは指を鳴らす。

景色は一瞬でアンティーク調の部屋から大広間に変化した。


『ここは何の部屋なんですか...？って...なるせさん？』


突如として姿を消したなるせさんに驚き、キョロキョロと辺りを見回す。


？「なるせくんの案内はあの部屋まで。今からは俺の案内」


そう言いながら歩いてきたのは赤い髪の男性。


『あなたは？』

あらき「俺はあらき。好きなように呼んでくれていいよー」

『.......あらきさんは何を教えてくれるんですか？』

あらき「俺はこれについてかな！」


ポンっと手を置いたのは部屋の端に置かれている、大きな時計。

近寄って見てみると、時計は11時43分を指していた。

時計のすぐ横にある窓を覗くと、外は異様に暗く何も見えなかった。


『夜なの？』

あらき「まぁ夢を見るのは夜だろね」

『でもなるせさん、この世界はファンタジーだって』

あらき「あーうん、まぁそう」


どこか納得しきっていない顔で頭をかく。

きっとこの世界には説明しきれないことがあるのだろう。


あらき「あぁ、それで話を戻すけど...この時計見て気付くことない？」

『えぇっと......』


時計を見るが、変わったところは一つとしてない、気がする。

.......いや、ある。一個だけ。

この時計は今現在11時43分を指している。

そう、私が始めに時計を見た時間と全く変わっていないのだ。


『壊れている...？』

あらき「そう見えなくもないけどね」


あらきさんは苦笑をこぼした。

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