19 ページ19
高地先輩に紹介してもらった古本屋さんのオーナーは、50代ぐらいの女性だった。
包容力があってお母さんみたいな雰囲気の方。
あっという間に面接が終わり、後日届いたメールには採用を知らせる文言が。
来週からシフトに入ることになった。
まだカフェの方は次のシフトが決まっていないからちょうどいい。
明日のバイトで店長に伝えよう。
『坂内さんは……さ、何が怖かったの?』
ふと蘇る飲み会での高地先輩の言葉。
酔いが回ってきてふわふわした会話をしていたというのに、真面目な顔をした先輩が唐突にそんなことを言った。
何のことですかー?
って人見知りのくせに語尾を伸ばしてすんなり言葉が出てくるのは、お酒の力か。高地先輩の人柄が引き出すものか。
『樹と付き合ってたでしょ』
一気に体温が下がった感覚。
ざばっと頭から氷水をかけられたような衝撃。
火照った身体が一瞬にして冷めていく。
何で知ってるの。
女の子からのやっかみが嫌で、なっちゃん以外のサークルの人には言ってなかったのに。
私の疑問を見透かしたような高地先輩は、見てたら分かるよってふわりと微笑んだ。
さらりと流され、高地先輩の目的はその事実を確認するためじゃないと気付く。
『2年の秋ぐらいに別れた……のであってる?』
そこまで詳しく把握しているのが何だか怖くて、私は声を出さずに首を縦に振る。
先輩はコースターをいじいじしていた手を戻す。
目が、合った。
いつもニコニコ笑顔な先輩はなぜか少し悲しそうにも見える。
黒目がちの瞳に私がくっきりと映り、目を逸らしたくなった。
『あの時の坂内さん、なんだか怯えてるように見えたから』
『……私が、怯えてる?』
『少なくとも俺の目にはね。で、最近もそんな感じしてきたから、気になって声をかけたの』
怯えてる?私が?
あの時の自分が、樹にぞっこんで不安定だったという自覚はある。
けど、今は思い当たることが……。
返事ができないまま、視線を空中に彷徨わせると、先輩はにっこり笑った。
『何もないならいいよ。でももし、何かあるなら抱え込まないでね、って言いたくて』
『……ありがとうございます、』
『坂内さんも可愛い後輩なんだからね、俺にとったら』
そう言って、グラスを手に取り席を離れた先輩の笑顔は、いつもみたいなくしゃっとしたのじゃなくて。
.
ラッキーSixTONES楽曲
Dance All Night
1204人がお気に入り
「SixTones」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とろろご飯(プロフ) - つちいさん» そうなんですか⁉️知らなかったです…😵 (2022年9月17日 23時) (レス) id: a6300a582e (このIDを非表示/違反報告)
つちい(プロフ) - とろろご飯さん» ですね、頑張りましょ!!わ〜、語りましょ語りましょ✨でもコメ欄での語りは違反でしたよね……😢 (2022年9月17日 21時) (レス) id: f89db1ff86 (このIDを非表示/違反報告)
つちい(プロフ) - みやさん» ありがとうこざいます😭その言葉だけで書く気力が湧いてきました〜〜!!初めてそういうこと言われました……嬉しいです😳 (2022年9月17日 21時) (レス) @page26 id: f89db1ff86 (このIDを非表示/違反報告)
とろろご飯(プロフ) - つちいさん» 私もテスト前です!!ご無理なさらず…!お互い頑張りましょう!💪是非ストも語り合えれば…😳 (2022年9月15日 22時) (レス) id: a6300a582e (このIDを非表示/違反報告)
つちい(プロフ) - とろろご飯さん» なかなか同い年のスト担さんに出会えてなかったので何だか嬉しいです😳誉められると調子に乗る単純タイプなので、テスト前ですが更新頑張ってみます!! (2022年9月15日 21時) (レス) id: e2762dc7c7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ