貴方が輝いている

俺だけ　坂本勇人 ページ48

今年から公私共に食事管理など、色々やってくれる専用トレーナーが俺に着いた。ちっこくて、やかましい奴。

『坂本さーん！アップ前のマッサージやりますよー！』

勇「わかったわかった！ちゃんと行くから」

最初は女やって馬鹿にしとったけど、きちんとした実力と、このマッサージを受けた後だとマジで身体が動かしやすいから怪我の予防の為にも素直に受けるようになった。

『あ、そうだ。坂本さん、今日はホームラン1本撃てたら夕飯、何でも好きなの作りますよ！』

勇「なん？今日はめっちゃ気前がええな？」

『久しぶりに大好きな人と会えるんで、ちょっとテンション高いかもですねー！』

勇「へえ？」

大好きとかそんなワードが出てくるとちょっとだけ気になった。よく考えてみれば、俺はいっつも飯作ったり色々してもらうだけであんまりAのこと、知らんな…。

わかりやすくご褒美をぶら下げられた単純な俺はホームランを打ち、チームも勝った。

少しだけ胸にモヤを抱えたが、美味い夕飯が食えると気分良く帰り仕度をしていたら…

今日の対戦相手、ファイターズのロッカーから出てきたAと西川。

『遥輝めっちゃ久しぶり！めっちゃ会いたかった！』

ぎゅっと嬉しそうに笑い、西川に抱きつく。

遥「あほ、俺かて会いたかったわ。今日はもう離さへん笑」

抱きしめ返しながら、頭を撫でてはにかんだ笑顔の西川。

『ふふ、でも、まだ、仕事あるからダメ〜。終わったら速攻ホテル行くから待っててや？』

聴き慣れないAの関西弁。アイツ、関西弁で話すんや…？
いや、ってか好きな相手って西川なん？は？

俺は先程までの上がってた気分が嘘のようにモヤモヤとした気分へ変わった。

やりきれん気持ちのまま、家へ帰ると、Aはいつもの様に先に俺ん家で飯を作ってた。

『あ、坂本さん、おかえりなさい！お疲れ様です』

勇「あぁ…、ただいま」

『お夕飯の準備できてますよ！いま、ご飯よそいますから、手洗って待っててくださいね』

いつも通りのA、いつも通りの食卓。

『暖かい内に、早く食べましょ？』

勇「ん…」

手を合わせ、食事を摂る。あんまり食事欲がないが、とらねばまた文句が飛んでくる。
いつもなら楽しいこの時間なんに、先程見た光景を思い返すと素直に楽しめず、会話もそこそこに食べ終わった。

『…元気ないですけど、何か嫌なことあったんですか？』

勇「…別に、なんでもええやろ」

『よくないですよ！何の為に私がいるんですか』

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