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何も言えなくなって
黙り込んでしまった私に
「 ごめんごめん。
Aちゃんの名字が、、
あいつと同じだからさ。」
私の名字を頑なに呼ばない理由が分かって
初めて自分の名字が嫌いになりそうな気がした。
あれから月日は流れ
ここに配属されてからの2回目の春を迎えた頃
出動の無線が鳴り響いて向かった先には
物が散乱した倉庫の中で
返り血を浴びてもなお
誰かに馬乗りになって一心不乱に
その身体を刺し続ける藤ヶ谷先輩がいた。
ざあざあと地面を打ち付ける雨音が
藤ヶ谷先輩の抱えた苦しみを訴える声に聞こえて
苦しくて苦しくて、
ただただ立ち尽くした。
「 藤ヶ谷っっっ!」
そう叫んだ班長の声に
こちらを振り返った藤ヶ谷先輩は
泣いていたんだ。
顔を歪めて
泣いていた。
「 どうしてあいつが殺されなきゃならねぇんだよ。
、、、っざけんじゃねぇよ。
てめぇが死んだって、、
あいつはもう帰ってこねぇんだよ、、。」
雨音が、増した。
辺り一面に広がった血の海から
ぴちゃって生々しい音を立てて
ふらりと立ち上がって
目の前の身体に突き立てられたナイフを抜いて
瞳を閉じて、天を仰ぐ。
「 、、、待たせてごめん。
やっと、、、会いに行ける。」
左手の薬指のそれに口付けを落とした刹那
その景色に見合わないほどの
幸せそうな笑顔を見せ
自分の首にナイフを突き立てた。
目を奪われてしまうほどの綺麗な光景に
息を飲んだと同時に
「 いやあっっっ。」
響いた私の悲鳴と
「 藤ヶ谷、、っ。」
漏れる仲間たちの声。
その次の日は
前日の雨が嘘かのように
雲ひとつない青空が広がり
まるで愛する人の元へ旅立っていった
藤ヶ谷先輩を導く橋のように
空には、大きな大きな虹がかかっていた。
金曜日のキミ(KiF)→←その左手の薬指。(FKi+目線ME)
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ア :(プロフ) - まゆかさん» まゆか様はじめまして。コメントありがとうございます。今後もご愛読よろしくお願いします(^^) (2022年8月8日 0時) (レス) id: 8fb4f61407 (このIDを非表示/違反報告)
まゆか(プロフ) - もう……限界かも…… みっくん どーするんだろ!! (2022年8月7日 18時) (レス) @page21 id: 479294a46e (このIDを非表示/違反報告)
まゆか(プロフ) - はじめまして、いつも拝見してます なかなかコメントしてなくて💦太ちゃんいいですね。みっくんも包容力あっていい男!!藤北が好きでしたけど 最近は北藤も好きになって いろんなの読み漁っております笑 甘々なみっくん サイコーです (2022年8月7日 17時) (レス) @page24 id: 479294a46e (このIDを非表示/違反報告)
ア :(プロフ) - ここさん» ここ様こんばんは! 分かります分かります!わたしは包容力ある北山くんが好きで最近は北藤に寄ってます(笑) 嬉しい褒め言葉ありがとうございます(涙) これからも頑張ります!またお気軽にコメントください☆ (2019年8月20日 0時) (レス) id: 176b5a577c (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - 以前から読ませて頂いてました!切ない展開が好きで健気なたいぴさんが好きなので個人的には北藤が特に好きです。ですがア:さんの書かれる藤北も北藤も素敵なので更新を楽しみにお待ちしてます! (2019年8月19日 21時) (レス) id: fa7cff84af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ア:
作成日時:2018年12月2日 15時