ふたり。(短編集)

君にビールは似合わない(KiF) ページ11

△リアル



ki .




「 、、これ以上可愛くならないでよ、困る。」




・






かれこれ30分前、


深夜まで押したロケを終え


疲れた体に鞭打って、帰宅した俺は


リビングから漏れる光に


あれ、起きてんじゃんて


廊下を歩く足取りも軽くなった。







「 やっと帰ってきたあ。


みっくんおかえり〜！！」


リビングに入ると同時


俺の胸に飛び込んできた太輔。


もふもふのパジャマを身につけて


前髪はお得意のポンパドール


そして極め付けは


手が絶妙に半分だけ隠れた、絶対領域の萌え袖。








太輔が先程まで座ってたソファに


ちらっと目を向ければ


その前にあるテーブルには


苦手なはずの俺のビールたちが


何本も無造作に転がってる。


俺の胸にぐりぐりと頭を擦り付けてくるから


そっと引き剥がして、その顔を覗き込んだ。








「 太輔？こんなに呑んでどした？


仕事でなんかあったの？」


とろんとした目が俺を捉えて


ふにゃって笑ったかと思ったら


今度は顔を膨らませて


「 俺だって、、俺だって大人だもん。


だからお酒強くなるの！！


みっくんみたいにビールたくさん呑むの！！」









言い放った言葉に


鳩が豆鉄砲を食ったようとはまさに今の俺で


全然理解が追いつかない。


え？なに？どゆこと？


とりあえず座ってるのもなんだし


そのまま太輔の手握って歩いて


太輔だけソファに座らせて


俺はラグに膝立ちになって向き合った。

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