「無気力組を本気にさせた子」

第３６話 ページ39

国見side


やっぱり、俺が着替えている間に、月島とAが話し込んでいた。Aは、暗い表情から明るい表情へと変わる。



いつもみたいに競いあって、いつもみたいに嫉妬して。なのに、いつもより月島にイラッときた。



Aの表情を明るく出来るのは、月島だけなんじゃないかって。Aを好きになればなる程、Aを奪いたいって気持ちが強くなる。



俺の彼女になってくれれば、こんなこと思わなくてすむのに。って、心の中で少しだけ思ってしまう自分がいて。Aの気持ちも考えられない最低な奴だって苦笑い。



きっと、Aの口から、「英くんの事が好きだよ」って言わせて見せるから。だから、少し待っていて。



絶対に幸せにしてみせるから、俺から離れんなよ。



そう思っていると、体は勝手に動いてしまう。今さっきまで考えていた、Aの元へ。



国見「……A。俺、頑張るからご褒美ちょーだい? 」



あざとく見えるように(高身長の野郎が言えないけど)、首をかしげた。いつもみたいにAを見つめる。



『分かった、本当に頑張れるならねー。』



多分、俺の頑張りに期待なんてしていないんだろう。いつも無気力なのが災いしてなのか、本気にはされていないみたいだ。軽くスルーされた。



確かに、いつもの俺ならバカみたく頑張りなんてしないけど。でも、Aのご褒美があるから。言質はとってあるからな。



精一杯、頑張ってみようとおもう。

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