意味深 ページ8
「Aちゃん、ウチの学校受験してたんだ」
高校に入学してもう二か月余りが経つ。
及川さんとは、中学の時は国見や金田一との繋がりもあり、廊下ですれ違ったりしたときは稀に話していたりもしたが、高校に上がってから話すのはこれが初めてだ。
いつも女の子に囲まれている彼とは、中学の時と違って話す機会もない。
私が青城に入学したことすら認知していなかった様子から、その興味の薄さを感じる。ま、当たり前だけど。
「わぁ、それにしても久しぶりだね。中学ぶり？」
「はい」
私が淡々と返事をする中で、及川さんは終始笑顔を崩さなかった。というよりも、その笑みからは意味深な何かを感じる。
「及川さん、何か楽しいことありました？」
数年ぶりに再会した先輩にも物怖じせず話せるのは私の性格的な問題っていうのも勿論あるが、及川さんの人柄の良さが一番大きいと思う。
「んー、何もないけど？Aちゃんはこんなところでなにしてるの？」
やっぱりニヤニヤしながら、そして時折私から視線を外して校舎の方を確認している及川さんは、どことなく浮ついているように見える。
「私は、」
「ちょっと待って！及川さんが当てるね！」
及川さんは私の言葉を遮って、クイズ番組の早押しボタンを押す動作をし、高らかな声で「国見ちゃん待ちでしょ！」と、不自然すぎるくらいに私がこの場にいる理由と、その相手の名前までも言い当てた。
「当たってる？」
「…はい。正解です」
やったー！と無邪気にはしゃぐ及川さんは、まるで二つ年上の先輩とは思えないほど子供らしい喜び方をした。
ピンポイントで国見待ちを言い当てた及川さんは流石と言ったところか、それとも私と国見が中学から一緒にいることを知ってのことだろうか。そう考えると、私と国見が仲良く見られているのだと気分が良くなる。
「でも、少し時間かかるかもね」
「…え？」
若干声を低めて、口元に緩いカーブを描き鼻で小さく笑った及川さんにゾッとした。
時間かかるってって、どいういうこと…？手紙の相手は及川さんの知り合いってこと？即ち先輩…。
及川さんの登場で消えかかっていた蟠りが突如としてその殻を破る。
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小鈴(プロフ) - 楓鈴さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです！パスワードはメッセージにてお送りさせていただきますのでご確認ください！ (2022年8月18日 15時) (
レス) id: ae1e2047a9 (このIDを非表示/違反報告)
楓鈴(プロフ) - 小鈴様の作品どれも面白くて一気読みしてしまいました(笑)素敵なお話、ありがとうございます。その…恋愛保護方針論の小説を読みたいです…！パスワードを教えて下さいませんか。コメント失礼しました。 (2022年8月6日 0時) (レス) id: 20d25d3656 (このIDを非表示/違反報告)
小鈴(プロフ) - 夕月さん» コメントありがとうございます！古い作品の中からわざわざ読んでいただき嬉しい限りです！パスワードはメッセージにて送らせていただきます！ (2022年7月23日 0時) (レス) id: ae1e2047a9 (このIDを非表示/違反報告)
夕月(プロフ) - こちらの作品や小鈴様の他の作品を拝見して今更ながらファンになりました。2年以上前の作品にはなりますが、「恋愛保護方針論【HQ】」も拝読したく、パスワードをお教えいただけないでしょうか。このメッセージに気付いてもらえますように。 (2022年7月21日 11時) (レス) id: 2778bc399a (このIDを非表示/違反報告)
小鈴(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます！お返事遅くなってしまったので、まだ見られているかわかりませんが、パスワードをメッセージで送らせていただきますね！ (2021年11月4日 19時) (レス) id: 3ef1db8aa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年12月3日 22時
