友情と覚悟 ページ43
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「さあ？」
これは、クロと一緒にいるうちに自然と身に沁みついてしまった挑発癖。クロがよく使う言葉だ。
「チッ」
「A！」
先輩の舌打ちと、私の名前を呼ぶ声が重なる。
声のした方に顔を向けると、息を切らしたマミの姿。
「マミ、どうして」
「うっ、上からっ、見え、て」
マミが呼吸を整えながら私たちに近づいて、私の制服のタイを掴む先輩と引き離す。
「ちょっとなに。離れなさいよ」
私の友達の登場に、さらに機嫌を悪化させた先輩の表情は険しいどころではない。
「マミ、先輩」
私が小声でマミに耳打ちすると「関係ないっつうの！私の友達に何してるの！」と声を張り上げる。
「そういえば、アンタも少し前まで黒尾に媚び売ってたよね」
「だから？」
鼻で笑う先輩に、マミも負けじと強気で言い返す。
「この子が黒尾先輩と付き合った腹いせか何か知らないけど」
‛かっこ悪…’
マミが小馬鹿にしたように言ったと同時に、先輩の平手打ちが切れにマミの頬に打ち付けられ、乾いた音が響いた。
「っ、」
「マミ！」
よろけたマミの体を支える。
手で押さえているマミの頬は、見る見るうちに真っ赤になっていった。
「私はね、黒尾の彼女がそこにいる女だってのが気に食わないの。その子、今まで散々告白されても誰とも付き合わなかったらしいじゃない。それなのに、何で急に黒尾と、」
先輩がベラベラと御託を並べる中で、私は先輩の前まで行って、勢いよく手のひらを彼女の頬に打ち付けた。
びたん、と乾いた音が響いた。
「どんな理由か知りませんけど。文句があるなら私に言って。無関係の私の友達に手を上げるなんて…」
力を込めすぎたあまり、地面に崩れた先輩が鬼のような目をして私を睨み上げる。
「それから、クロの彼女は誰がなんと言おうと私です！」
この先輩が本当にクロのことが好きなのであれば、私に陰湿的に何か言う前に、クロに直接言わないと同じ土俵じゃない。
「叩いてすみませんでした。私のことも、叩いてください」
これでおあいこだ、と私は立ち上がった先輩の前に一歩出て歯を噛み締めた。
心配そうに私の名前を呼ぶマミを制して、目をギュッと瞑って覚悟した。
今か今かと、待てども頬にはなんの感覚もない。
恐る恐る視界を明るめると、先輩の振り上げた手を、背の高い男が掴んでいた。
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クロいいよね - 完結おめでとうございます とっても面白かったです！！ (2022年11月21日 22時) (
レス) @page50 id: 18092cdeea (このIDを非表示/違反報告)
ちあ。(プロフ) - コメント失礼致します。完結おめでとうございます！毎日更新楽しみにしていました。私自身、自分は流されないように頑なになりすぎていたんだな、と作品を読みながら思いました。周りに合わせることも流されないことも、両方器用にできるようになりたいって思いました！ (2019年10月14日 1時) (レス) id: 2013350887 (このIDを非表示/違反報告)
momx(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白かったです。 (2019年10月13日 17時) (レス) id: 2de1bab8eb (このIDを非表示/違反報告)
ずー(プロフ) - 完結おめでとうございます！素敵だなと思う作品は小鈴さんの作品がほとんどで…。とても楽しまさせて頂きました。 (2019年10月13日 11時) (レス) id: 5f1f2e19c0 (このIDを非表示/違反報告)
usagicyanda(プロフ) - 完結おめでとうございます！丁度一年ほど前に私もこの主人公と全く同じ１つ上の人気者の先輩と付き合っていました、ほんとに全く同じ状況で涙がこぼれました..その先輩は晒すだけ晒して守ってくれませんでしたが... けど主人公ちゃんとクロが幸せになれてよかったです！ (2019年10月13日 3時) (レス) id: cef44ace1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年9月29日 17時
