視線で圧力 ページ10
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…やっぱり、さっき感じた視線は気のせいじゃない。
Aさんが、俺のことをチラチラ見ている。今度はあからさまだ。
な、なんだ…。俺なんかしたっけ。
…あぁ。
さっきの告白されてたことを言うなっていうのを、目で訴えているのか。
‘言いませんよ’ と木兎さんにバレないように頷くと、Aさんは眉間にしわを寄せた。
くだらない会話をしていると、お盆に乗せられた定食が運ばれてきた。
テーブルに並べられた定食を見るなり、二人がゴクリと音を立てて生唾を飲んだ。
『いっただっきまーす!』
ほんと、このひとたちはどこまでもそっくりだな。
なんて思いながら、俺も手を合わせた。
「うんめー!」
「この味だ!最高!」
「二人とも、落ち着いて食べてくださいよ」
急いで食べたせいで、案の定木兎さんは喉を詰まらせて、俺は背中をさすった。
「Aのそれ、うまそう。一口頂戴」
「いいよ」
Aさんが自分の皿のハンバーグを一切れ、木兎さんの皿に運ぶ。
「サンキュー!うんまそー!」
Aさんが うまいんだって と笑って「赤葦も食べる?」と俺の皿にも一切れハンバーグを乗せた。
「すみません。いただきます」
「赤葦は育ち盛りだからね〜」
もう一切れ、追加する。
「あっ、ずっりぃぞ!赤葦だけ!」
「赤葦にはこれから調子に乗ってうるさい木兎の背を抜いてもらうという使命があるからいいんですぅーっ」
「畜ッ生!」
断る間もなく、二人が言い争う。
俺は一体どんな使命を課せられているんだ。
「赤葦、俺の背抜いたら許さんからな!絶対許さん!俺は先輩だからな!」
いつもの調子で大声で笑う木兎さんに、釣られたように他のお客さんも笑い出す。
「元気だな、そこの若いの!」
「いいぞいいぞ兄ちゃん!」
「え?なに俺今褒められてる?ふはははははは!」
つけ上がって笑う木兎さんに、Aさんは一瞬あきれた表情を浮かべたものの、諦めて笑う。
こうなった木兎さんは止められない。
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凛々 - 赤葦と夢主の掛け合いが素敵…。甘さが私に合いすぎです!続きが気になって仕方ないです。 (2019年11月8日 20時) (レス) id: df09ac0ca3 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 39話以降のタイトルのセンス良すぎでは…。全話タイトルつけてほしいくらいです。。。 (2019年9月23日 18時) (レス) id: c3e4fd17c8 (このIDを非表示/違反報告)
madoka - コメント失礼します。小鈴さんの作品は「これぞ純愛!」って感じがして、穢れが一切ない感じがたまらなく好きです!今回もいい感じのキュンキュンありがとうございます!番外編と続編も楽しみにしています!これからも頑張ってください! (2019年9月20日 13時) (レス) id: b7f00b86d0 (このIDを非表示/違反報告)
ずー(プロフ) - あまーい!!実は木兎さんが主人公に片思いをしていたこともめっちゃ胸キュンでした!!本当に小鈴さんの作品大好きです!!!!! (2019年9月19日 13時) (レス) id: 1ffe4440e9 (このIDを非表示/違反報告)
すいか(プロフ) - めっちゃキュンってくるのと、赤葦のかっこよさが、いつもより増してまじでよかったです!他の作品も読んでみようと思います (2019年9月18日 20時) (レス) id: 2af2bdbcf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小鈴 | 作成日時:2019年9月7日 19時