「捕まえた」 ページ31
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(今日は、いないんだ)
四限の移動教室から戻り、自分の教室のドアの前で木兎がいないことを確認する。
自分が避けてるくせに、寂しいなんて。
都合いいな、私は。
そう思いながら、一歩教室に一歩入った瞬間―――――、
「ひっ！」
下から伸びてきた腕によって、私の手が捉えられ体が揺れ短い悲鳴が漏れた。
反動で逆の手で抱えていた教科書がバサバサと床に落ちる。
「捕まえた」
長く、がっちりとした腕を辿ると、
「ぼ、木兎…」
しゃがんで私の手をしっかりと握る木兎が、私を見上げていて。
私は目を見開いて木兎を見る。
だって、まさかドアの死角に隠れているなんて思わない。
「木兎、は、」
「ダメだ」
「まだ何も言ってないじゃない」
「今お前ぜってー離してって言おうとしたろ！そんで素直に離したらそっこー逃げるつもりだったろ！俺にはわかる」
お昼休みで騒がしかった教室内が、気づいたら静まり返っていて、みんなの視線が私たちに集まっているのがわかる。
廊下の賑わう声と足音が、やけに大きく聞こえる。
『木兎頑張れ』と小さい声が教室のどこかから聞こえてくる。
クラスのみんなグルってわけ？
今の状況に頭が追い付かない。
なに、なんなの。
すると木兎がスッと立ち上がって、真っ直ぐ私を見る。
「…俺のこと、嫌いになったのか…？」
いや、そりゃ、好きかもわっかんねえけど…と弱々しい木兎の声に、私はふるふると首を横に振る。
「俺、何で避けられてんのかわかんねえし」
ま、待って。
ちょっと待ってほしい。
ここで何言われても、平常心でいられる気がしない。
「ぼ、木兎。私、もう逃げないし、ば、場所、変えよ？ね？」
私が木兎のワイシャツをつまむ。
「いーやダメだ。今ここで言わなきゃ、意味がねえ！」
ワイシャツに添えられた手すら拘束される。
もう完全に、逃げられない。
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アニメしか勝たんっ！！ - やっぱり、木兎さんはかっこいい...！ すっごくキュンキュンしました！ それと、赤あしの片思い... 素敵な作品ありがとうございました！！ (2021年9月6日 19時) (
レス) id: a9d6af11eb (このIDを非表示/違反報告)
しきし(プロフ) - 木兎が好きで色々な木兎作品を読みますが、結局小鈴さんのこの作品に戻ってきてしまいます、何度読んでも好きです！！ (2020年8月21日 20時) (レス) id: 46b82dd2cd (このIDを非表示/違反報告)
モンブラン♪@アップルパイも捨てがたい(プロフ) - 尊い。私ごときの語彙力じゃ表せないです。なんか、もう、尊い。 (2019年11月24日 22時) (レス) id: 4e49721770 (このIDを非表示/違反報告)
c.f(プロフ) - 番外編読みました。私のツボを抑えておられますね…最高です。そして実は短編集とかもいける口では…？と思ってしまうほど纏まった内容でドキドキが止まりませんでした！また更新楽しみにしてます！ (2019年10月4日 21時) (レス) id: 05c431cb99 (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - 通知がきて飛んで来ました！やっぱり木兎さんの書き方上手ですね。強引な感じも好きです。そして作者さんも好きです。これからも楽しみにしてるので更新頑張ってください！！！ (2019年10月3日 18時) (レス) id: 1247715456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年7月30日 20時
