彼の隠し事 ページ36
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「す、好きです…！」
私の精一杯を振り絞った告白に、赤葦くんは困ったように笑っていて。
「ありがとう」
目を逸らさずにそう言う彼。
風が、熱くなった私の頬を冷ましてくれてる気がする。
「俺、好きな人いるんだ」
そう言った赤葦くんの視線を、私は見逃さなかった。
背を向けているから実際には視界に入っていないものの、明らかに後方を気にしている視線の動き。
何かを言い合っている男女が、赤葦くんの後ろの校舎の陰に見え隠れする。
それは、三年生でよく目立つ‘木兎先輩’と、その彼女さん。
赤葦くんとよく一緒にいるのを見る二人。
赤葦くんが球技大会の時に手を引いていた、あの人。
「───赤葦くんの、彼女さん？」
もしかして、あの彼女さんのことが…？
そう思って赤葦くんに視線を戻すと、赤葦くんは一瞬眉を顰めたものの寂しそうな顔で私を見た。
「先輩の彼女なのに何で、って顔だね」
「あ、いや」
赤葦くん、そんな風に笑うんだ。
悲しそうに、目を伏せて。
「木兎さんのことが好きな、あの人が好きなんだ。俺は」
きっと。
そんな彼だからこそ、私は好きになったんだ。
最初から、ダメ元だった。
それでも、それでも今日。
ほんの少しだけ、赤葦くんに近づけた気がして。
「私も、わかるよ」
だって、そんな赤葦くんを好きになったんだから。
きっと私は、あの人のことが好きな赤葦くんを好きになった。
私と赤葦くん、一緒でしょう？
「赤葦くんがその人を好きなように、私も赤葦くんのこと、好き…だから」
精一杯の強がりで笑って見せると、赤葦くんは驚いたように私を見ていた。
「私、頑張るから」
そう言って踵を返すと、風が私の緩くパーマのかかった色素の薄い髪を弄ぶ。
両頬に当てた手が、やけに冷たく感じる。
頬は、まだ火照ったまま。
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アニメしか勝たんっ！！ - やっぱり、木兎さんはかっこいい...！ すっごくキュンキュンしました！ それと、赤あしの片思い... 素敵な作品ありがとうございました！！ (2021年9月6日 19時) (
レス) id: a9d6af11eb (このIDを非表示/違反報告)
しきし(プロフ) - 木兎が好きで色々な木兎作品を読みますが、結局小鈴さんのこの作品に戻ってきてしまいます、何度読んでも好きです！！ (2020年8月21日 20時) (レス) id: 46b82dd2cd (このIDを非表示/違反報告)
モンブラン♪@アップルパイも捨てがたい(プロフ) - 尊い。私ごときの語彙力じゃ表せないです。なんか、もう、尊い。 (2019年11月24日 22時) (レス) id: 4e49721770 (このIDを非表示/違反報告)
c.f(プロフ) - 番外編読みました。私のツボを抑えておられますね…最高です。そして実は短編集とかもいける口では…？と思ってしまうほど纏まった内容でドキドキが止まりませんでした！また更新楽しみにしてます！ (2019年10月4日 21時) (レス) id: 05c431cb99 (このIDを非表示/違反報告)
江(プロフ) - 通知がきて飛んで来ました！やっぱり木兎さんの書き方上手ですね。強引な感じも好きです。そして作者さんも好きです。これからも楽しみにしてるので更新頑張ってください！！！ (2019年10月3日 18時) (レス) id: 1247715456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年7月30日 20時
