【名探偵コナン】愛され松田の恋愛事情【男主】

らぶ7 ページ7

『………………しつれーしまーす』


ぼそり。小声で呟いた言葉は部屋の主に聞こえただろうか。


男一人の寮生活に相応しい乱雑した部屋だ。


物自体が多い訳ではない、むしろ少ないんじゃないか。

それでも無造作に床に投げ捨てられた物たちを見ると、あぁ、散らかってるなと思う。


いけないことをしている気分になって、音を立て無いよう静かに扉を閉める。


壁に寄り添うように取り付けられた窮屈なベッド。

それの寝心地がよろしいものじゃない事は身をもって知っている。


盛り上がった布団からは、鼻をすする音が聞こえてきて。



『(…………すっげー罪悪感)』



忍び足でベッドに近づく。

コイツは俺に気づいていないのか、それとも気づいた上で無視をしているのか。


それにしたって全く、何故俺はこんなことをする羽目になっているんだ。

良心が傷んだからって引き受けるんじゃなかった。

いくら文句を言ったって後の祭りなのだが。


なんと声をかければ良いのか。迷って、口を開けたり閉じたり。

よし、無難に名前を呼べばいいか。



『…………松田』
｢っ……！？｣



大袈裟なまでに跳ねた布団で、あ、コイツ俺に気づいていなかったのかと知る。

名前に反応は示したものの、布団から出てくる気配は皆無だ。おめーはイモムシかっての。


確かにこれは手強いな。


長引きそうな気配を察知した。

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