【wrwrd！】短編集なんですが！ (ページ3)

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桜が舞う中で見た君に僕は一目惚れをした

高校の入学式
温暖化のせいなのか、桜の開花が少し早く、入学式には満開を通り越し、葉っぱのがちらほらと見えている状態だった
２年に上がり、新入生たちが親や友達と写真を撮りあっているのを少し離れたところから見ていた

あの子可愛い。あの子はスタイル良いなぁ

何て考えながら

ふと１人の少女が桜の木の下に立っていた
周りに誰かがいるわけでもない
もしかしたら誰かを待っているだけかもしれない
僕にしては珍しく声をかけることもせず、ただずっと見ていた
腰近くまである長い黒髪
透き通るようなオパールのような瞳
白い陶器のような肌

本当に僕にしては珍しく
一目惚れだった

それから何度か見かけた
学年が違うし、接点もない
部活も同じと言うわけでもないので話すこともない
名前すら知らないという状況
本当に僕にしては珍しく何も出来ていない

仲間たちから冷やかされながらもそれでもやっぱりあの子が好きなんだと思った

月日がたち、僕たちの卒業式

女の子達に囲まれ、写真を撮ったりプレゼントを貰ったり
そんな中やっぱり一人でいる君を見つけた
泣きそうな顔
誰を見ているんだろう
僕ならいいのにと思いながら見ていると視線が交わった
その瞬間君は顔を真っ赤にして俯いてしまった

ーーー自惚れても良いのかな？

そして僕は初めて君と話をした

あれから７年

「うっわ、懐かしいやん」

『何かあったの？』

「卒業式の時に撮った写真」

『えっ！！うわぁ……懐かしい！』

「覚えとる？初めて話したん」

『ふふっ、おぼえてるよ。離れたとこにおる思ったら目の前におって』

ー僕、鬱って言います
名前聞いてもいい？

「顔真っ赤やったもんな」

ー………Aと言います

『恥ずかしかったんよ』

ーAちゃん？可愛い名前やね

「まあ、僕も心臓バクバクしとたけど」

ー急にごめん
もし…………もし間違いじゃないなら
僕がただ自惚れてるだけやないなら

僕と付き合ってくれませんか？

ずっと好きでした

『ビックリしたんよ』

ー………自惚れ…なんかじゃないです

私もずっと好きでした

私なんかで良かったら……

「あん時は本当に嬉しかったわ」

ーなんかじゃないよ

君だからお願いしたいんよ

ー………はい、喜んで！

「で、Aちゃん？」

『何？』

「………僕と結婚してくれませんか」

『！
はい、喜んで！』

桜舞う中で見た君に一目惚れをした

……一目惚れだったんです

僕もやよ