【wrwrd！】短編集なんですが！ (ページ4)

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今日も遅くなってしまった

彼女とは高校一年の時からの付き合いだからかれこれ１０年

大学に進学と同時に一緒に住み始めた

お互い仕事を始めてからあまり一緒にいられる時間が減ってしまった

それでも色々な記念日やイベントは休みを取ったり頑張って定時で帰るようにして過ごしてきた

でも、今日は仕事終了直前にクレームの電話が入り皆で対応に終われ気付けば終電間近
出来れば今日は早く帰りたかった

付き合って明日で１０年
一応明日は休みを貰っている
が、色々と買っていきたかった
メインのプレゼントは前もって買ってあったのでまだ良かった

マンションに着き、部屋に入る
リビングを覗いたらソファーで彼女が寝ていた
遅くなると連絡をしてあったのに……

ぐっすりと寝てしまっているようで声を掛けても反応がない
このままだと風邪をひいてしまう
抱き抱えて寝室へと行く
ベッドに寝かせてもぐっすりと寝ているみたいだ

疲れてるのに、いつも無理させてるなぁ……

そう思いながら部屋から出た

朝、ご飯を作っているといつもとは違いバタバタと慌ただしく走ってくる音

『らん！』

「Aおはよう、どうしたの？朝から慌てて」

『うん、おはよう！じゃなくてこれ！』

と、見せてくるのは一枚の紙

と、左手薬指にはまった指輪

「婚姻届と結婚指輪」

『そうだけど、そうじゃなくて！…………結婚指輪？』

「うん。本当は昨日の夜に格好よく渡したかったんだけど、遅くなっちゃったから」

『えっ…………と…………』

「色々と逆になっちゃったけど、改めて言うね」

「俺と結婚してくれませんか？」

『…………はい、喜んで！』

そう言って抱きついてきた彼女を抱き締めた

婚姻届にはもう俺の名前も判子も押してある
彼女が書くのを隣で見ながらこれからの事を考えた

今まで通りお互い仕事も忙しく、すれ違う日も出てきてしまうかもしれない
でも、今まで以上に幸せに過ごしたい

書き終えた彼女と一緒に役所に手を繋ぎ婚姻届を出しに行く

付き合って１０年の記念日が結婚記念日に変わった

実はもう１つのプレゼントがあるとわかったのはこれから二ヶ月後

彼女の中に芽生えた小さな命

でも、まだこの時はお互い知らなかった

.

.

.

『らん！妊娠したみたい！』