幸せ Yuta Side ページ40
〜Yuta Side〜
カーテンから差し込む朝日と鳥の鳴き声で夜が明けたことを知った。隣を見ると俺の大好きな子が胸の中ですやすやと眠っていた。
起こさないようにそっとベッドから出ようとすると
貴「んー」
あ、起こしちゃった…?Aを見つめるとまたすやすやと寝息を立て始めた。またベッドから出ようとすると腕を掴まれていて出られそうになかった。
裕「A〜俺出れないじゃん」
そんなことを言ってもAは少し笑みを浮かべながら眠っている。そんな君を愛おしく思った。
俺の事を想って泣くところも自分の事よりいつも友人の事を優先する君がたまらなく好きだった。
起きたら精一杯可愛がってあげよう。そう思い俺はまたベッドに入って眠りについた。
次に目が覚めると隣には誰もいなかった。リビングへ歩いていくとAはキッチンにいた。
貴「裕太おはよ〜 裕太ぐっすり寝てた!」
裕「Aより先に起きたんだよ?俺。ベッドから出ようとしたのに出してくれなかった。」
ニヤニヤしながら伝えると顔を真っ赤にして目を逸らすんだ。そんな所も可愛くて、やっぱり俺はAにベタ惚れしてるんだってつくづく実感する
貴「ちょっどうしたの裕太」
裕「ううん。なんでもない」
驚くAを他所に後ろからハグをした。抱きしめていると嫌でも見える、まだ消えていない首のアザ。
しなくていい思いを沢山したのに君は純粋なままで常に自分の事はあとに考えてしまう。
華奢な体に残る黒っぽくなったアザを見つける度にこの子は俺が絶対守り抜こうって気持ちを強くする。
裕「A?」
貴「んー?」
裕「俺、ちゃんとAの事大切にする。だから奈々と春樹と話つけにいこう。」
もう君に悲しい思いも痛い思いもして欲しくない。
でもまだ全部終わってなくて、
君を幸せにするためになんだってしよう。
裕「行こっか」
貴「…うん!!!」
Aとならきっと大丈夫だって
根拠もない自信が俺を奮い立たせてくれた
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作者名:とまと | 作成日時:2019年8月6日 8時