別れ ページ44
裕太の引越しの日がやってきた。
数日前から荷造りを手伝って段々と殺風景になっていく部屋を見て寂しくなった。
貴「ほんとに行っちゃうんだね」
ぼそっと呟いた一言が裕太に聞こえていたみたいで裕太は言った。
裕「本当はずっとAの近くにいてやりたいんだよ。でも今の俺達なら離れても大丈夫だと思ってる」
貴「…そうだよね裕太が言うならきっと大丈夫!」
これが最後の別れになる訳じゃない。これからだって頻度は減るけど会えない距離じゃない。
そんな事は分かっていて笑顔で送り出したい気持ちとは裏腹に涙が溢れて止まらなかった。
この街で初めて裕太に出会って恋をした事、5年ぶりに再会して裕太の彼女になれたこと。
この街は裕太との思い出が詰まった街で、また裕太がいなくなってしまうと思うと悲しくてたまらなかった。
裕「ちょっと散歩しよっか」
私達は外に出て手を繋いでゆっくりと歩いた。
小さい頃一緒に遊んだ公園も大きな声を出して怒られた図書館も、一緒に通った学校も。気付いたら裕太との思い出は沢山あって私の胸はいっぱいになっていた。
貴「このネックレスありがとう。ペアリングも、裕太がくれたもの全部ずっと大事にするね」
裕「俺も大事にするよ。この街に居なくても俺らは大丈夫だから。」
裕太の言うことはきっと全部当たってて、裕太が大丈夫って言えばどんな事でもできる気がした。
裕太とさっき来た道を戻る。今までを振り返るには全然足りなかった。
貴「私はずっとこの街で待ってるから。いつか…ね」
裕「遅くならないように頑張るよ」
裕太は私と肩を組んだ。しけた顔するなよなんて言いながら私のほっぺをつねっていた。
裕「じゃあ、またついたら連絡するから」
貴「うん。まってる」
裕太が車に乗り込んだ私は思わず裕太の名前を呼んでいた。
貴「私、ずっと待ってるから!今度は5年以上でも私怒らないから!だから…だから!」
泣きすぎてこのまま崩れ落ちてしまいそうだった震える足を立たせて続けた
貴「安心していいんだよ!いつも優しくて私の事ばっかり考えてくれる所大好きなの!次帰ってくる頃にはもっと大人になるから!裕太が心配しなくていいくらい大人になってやるから!」
精一杯の強がりを裕太にぶつけた。裕太は笑っていた。
車は走っていった。
行ってしまったっていう気持ちと応援したい気持ちでいっぱいの中
もっと強くなろうと決心した風の強い日だった。
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作者名:とまと | 作成日時:2019年8月6日 8時