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翼は。27 ページ31
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「……ねぇ、太一」
「は、はいッス！！」
「オレ、話すなって言ったよね」
兄さんと別れてすぐ、怪しすぎる集団に声をかけて、有無を言わさずに談話室に連行。
話を聞いてみれば全員知っているし、コイツは止めることもできずに付き合わされた、と。
「……あのことは？」
「い、言ってないッス！」
「……そ」
口を滑らしたとしても、コイツも詳しいことは知らない。珍しく支配人もやらかさなかったみたいだし、多くの情報は流れていない。
本当に申し訳なさそうに謝ってくるバカ犬を見て、意味のない怒りがこみ上げてくる。
「もういい、次はないから」
「待って、幸くん」
「……なに」
この空間にいるのも嫌で、自分の部屋に行こうとすると、あの集団と一緒にいた―多分、ストッパー役―紬がオレを引き留めた。
その表情は何か思うところがあるようで、言葉にしがたい何かを表していた。
「君の義兄さん、Aに会わせてくれないかな」
「は、何で名前……？」
「……詳しいことは言えないけど、話したいんだ」
兄さんの知り合い？ でも、演劇の知り合いなんて……。いや、そういえば。
……いける、かもしれない。
．
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作者名：彩崎葉 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ksmkrn12211/
作成日時：2017年4月3日 22時
