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翼は。21 ページ25







 ……視線を感じる。

 それは唯の自意識過剰では決してなく―あのポンコツ役者なら有り得るが―、はっきりと、確実にオレ達に向けられていた。

 その場の誰にも気づかれないように、それとなく目を向けると、目立つ集団が一つ。


「(……あのバカ、口を滑らせたな)」


 帰ったら何て言ってやろうか。何人にバレたのかも問いたださないと。


「幸、あのカフェで少し休まないか? こんなに歩いたのは久しぶりだから、少し疲れてさ」

「いいんじゃない? ついでにケーキ食べたい」

「じゃあ、俺も何か食べようかな」


 兄さんは気づいていないみたいだし、別れてから詰め寄ってやろう。

 あーあ、アイツ等のことを忘れて楽しむはずだったのに、とんだ誤算だ。……まぁ、アイツを信用しすぎてたオレも悪いんだけど。


「食べながら何処に行くか話そうか」

「ん、オレ雑貨屋行きたい」

「僕は本屋に寄りたいな」


 アイツ等がいようがいないが、オレはこの時を楽しむだけ。誰が入ってこようと、この空間だけは壊させない。

 まぁ、壊せるやつなんて、誰一人としていないだろうけど。





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作者名:彩崎葉 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ksmkrn12211/  
作成日時:2017年4月3日 22時

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