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翼は。10 ページ13
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無事衣装合わせを終えて、紙袋を手に談話室に向かう。
この時間なら人は少ないだろうし、もし多くても紅茶だけいれて部屋に戻ればいい。
「あれ、むっちゃん一人？」
「あ、幸くんに太一くん」
「何してんの、椋」
「ジグソーパズルだよ」
談話室には机にピースを広げたメルヘン坊っちゃん、向坂椋の姿があった。
繋がっているピースの数がまだ数えられる程度しかないから、やり初めてまだそんなに経ってない。
……談話室にいるのは椋だけか。
「ねぇ、これ食べる？」
「シフォンケーキ……？」
「そ、知り合いに貰った」
紙袋の中身は既に小分けにされたシフォンケーキだった。
小分けにしないと俺が一人で食べてしまうのをわかっていたのだろう、先手を打たれた。
まぁ、全員の口には入らないだろうけど。
兄さんは団員の数を知らないから多目に作ってきたんだろうけど、テンプレヤンキーや椋のことを考えると、それでも少ない。
つまり、早い者勝ち。
「あ、小皿とフォーク用意しないと……！」
「太一はお湯沸かして」
「はいッス！」
兄貴のお菓子の味は、俺達だけの秘密の味。
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作者名：彩崎葉 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ksmkrn12211/
作成日時：2017年4月3日 22時
