雪 (ページ12)

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「なあ、しげ」

ベンチに腰をかけたまま、親友は
どこか遠くの、何かを見ながら
こちらに声をかけた

「…」

人一倍、真面目で熱い奴だった

彼女が困っている時には迷うことなく手を差し伸べていたし
俺が悩んでいる時は、相談を聞いてくれたりアドバイスをくれた

だからこそ、

「なんで、墓参り行かへんの？」

風に揺れるカーネーションが音を立てる
いつの日か彼女が、好きだと言っていた花
白いカーネーション

＂生きる愛＂

「なんで、なんでそんな、」

立ち上がってこちらを見た真っ直ぐな目と
風に揺れるピアス

寒さからか、俺に向けた感情からか
震えるほどに握られた手

すべてを受け止めるようなその表情

「なんで何も言わんねん！」

人一倍、真面目で熱い奴だった。

だからこそ、

「俺は、しげもAも、救えんかった」
「…」
「２人を、救うことができんかった」

彼女を救えなかったのは、全部、自分のせいだ

　

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