セカンドプロローグ ２−�� ページ24
一年生達はスリザリンの監督生に続いて大理石の階段を下りていた。上階から何者かの気がふれたような声が薄っすらと聞こえ、監督生が鼻を鳴らす。
やがて一行は地下牢のような突き当りの前で立ち止まった。純血、と監督生が声高に告げれば重厚な扉が開かれる。各寮の談話室は合言葉を言わなければ入れない仕組みになっており、スリザリンでは純血主義に纏わる単語が多く使われる──安直だが、穢れた血のような差別用語を使うことも珍しくないのだから、たとえ合言葉を知ったとしてもグリフィンドール辺りは侵入出来ないだろう。
「三人ずつ部屋に入れ。くれぐれも妙な真似はするなよ。一人一人が互いの監視だと思うように」
マグルの政治体制のようなことを言い、監督生は全員に就寝の指示を出した。上流階級の子供らしき一年生は同格の仲間を見つけて手前の部屋から順々に埋めていく。ドラコはビンセントとグレゴリーを探しているらしいが、一年生の群れに揉まれて死にかけていた。
シャルルは笑いを堪えながら端の方でその様子を眺めていたが、ほんの少しの間に殆どの人の部屋割りが終わっていて、どうやら取り残されたらしいと気づく。静まり返った談話室では監督生が余りはいないかと目を光らせていた。居た堪れない思いで最奥の部屋に入ると、中には既に二人の生徒がいた。
「ハロー。仲間に入れて貰ってもいい？」
「……好きにしたらどうだ」
「あぁ、その、いいです……もちろん……」
最後の彼は明らかに青褪めていたが、シャルルは良い笑顔でThanksと言って一番奥のベッドを陣取った。真ん中のベッドに座っている黒人の少年の溜息を聞き流し、どこからか現れたトランクの中身を選別する。一通り終わって、ふんわりすべすべの魅惑的なマットレスに身を預けると、急激な眠気に襲われ、気づいたら朝になっていた。
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作者名：砂な | 作成日時：2023年3月25日 23時
