■ 記録6 ページ7
休憩時間。
ピウスは裏口で一人、煙草を吸っていた。
「よ、ピウス」
何処からともなく現れたサエウムが声をかける。
「……ぁ、嗚呼、サエウムさん。どうかしましたか?」
はっとしていつもの調子に戻ったピウスを見つめ、サエウムは口を開く。
「いーや。お前が煙草吸ってるなんて珍しいなって」
全てを見透かしているようなサエウムの瞳は、ピウスにすれば苦手な類であった。赤いそれから目をそらせば喫煙中であったことを思い出し、少し顔を歪める。
疲れていたのだろう、と思うことにした。
いつも通りのクレーム対応、そしてアルマとの絡み。実際に疲れていたと言っても間違いではないのだが。
ピウスは現在進行型でアルマのことを理解できない。私欲の為と言えど、何故このような場所で働けるのか。サエウムは孤児だから例外として。
そもそも何故人の歪んだところが好きなのだろうか。何故あんな態度を取るのだろうか。何故オークションという役職を見つけたのだろうか。他にもブラックな会社とか色々あっただろうに。
何故、何故、何故。思い返してみればアルマへの謎は沢山あるのだ。
自らを語ろうとしないアルマは謎にまみれている。あの飄々とした態度は勘に触るも、あれだけが彼の人格ではない気がするのだ。
そこまで考えてピウスは我に帰った。
サエウムさんと一緒にいることを忘れていた。
「……では、俺はこれで」
そう告げて中へ戻ろうとするも、サエウムに肩を掴まれて立ち止まる。
「……なんですか?」
ピウスはサエウムの目を見ようとしない。
「ピウス、無理はすんなよ」
「…………」
オークションで働くことが本意ではないピウスにとってそれは、救いの言葉でもあり、足枷でもあった。
「なーんでサエウムはピウスに構うのかな、働きたくないんだったらさ……」
盗み聞きをしていたアルマは、バレないようにレストランへと戻った。
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あき(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 返信遅くなってしまい誠に申し訳ありません!とっても嬉しいです、ありがとうございます!もうそろそろ更新できそうなので頑張りますね!ピウスさん私も好きですよー。 (2020年9月26日 21時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 沢山のお褒めの言葉、とても嬉しいです、ありがとうございます!これからも面白い作品作りに精進して参りますので、応援の程宜しくお願い致します!あ、私もピウス君好きです! (2020年9月20日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん(´`)(プロフ) - 夜分遅くにコメント失礼します…! え、え、凄く面白いです…! 個性的なキャラや、言い回し、圧倒的な文章構成力…!! しっかり作り込まれた一次創作本当に好きです…。文章だけでピウスくん好きになりました(*´`*) (2020年9月20日 23時) (レス) id: 554c742bde (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - サワーさん» さわんぬぁぁぁ!そう言ってくれて嬉しいです!ありがとうございます!これからも頑張るのでよろしくお願い致します! (2020年9月16日 17時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - サワーさん» 二人で一生懸命練り上げたキャラクター達なので、そう言って頂くと本当に嬉しいです!これからも、サワーさんのことを飽きさせない作品作りに努めますので、応援宜しくお願い致します! (2020年9月15日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
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