□ 記録23 ページ26
あそこまでする必要は正直無いだろう。
ピウスは心からそう思っていたし、二人だってそれは分かっているだろうと思っていた。
でもそれは違うのだ。
「あそこまで…する必要……あったのか…ねぇ」
ぼそりぼそりと呟きながら先程ピウスが言ったことを反芻するサエウムの表情は、興味のない政治家の話を聞いているようなそれだった。
「そういうのが通じねぇから、目立った活動が出来ないんじゃねぇの?」
「………」
そういうの…つまり、ピウスが胸に秘めるような良識で、目立った活動…それは闇オークションの活動か。
しかしサエウムの言ったことは、反論が簡単に出来ない程度には的を射ていた。
だからこそ、咄嗟にピウスも反論が出来なかった。
「残念だが、俺にはこれが一番合ってる訳だから」
しかしまぁ、確かに派手にやり過ぎたかもな…叱られちまうかも。
悪びれた様子も見せずにサエウムはそんなことをぼやく。
「じゃあ、当事者なんだからサエウム君が上に報告してきなよ」
アルマがそんな軽口を言うようにサエウムに提案する。
「……ま、それもそうだな。お前らも来るんだろ?」
「僕達はゆっくり行くよ」
ピウスに何も言わせるものかとでも言うようにアルマが間髪入れずにそう答える。
その答えを聞けば、サエウムは若干顔をしかめるも、そのまま踵を返して行ってしまった。
その大きな図体が小さく見えてきた頃、アルマがそっとぼやくように言った。
「所詮、こういう世界だよ」
その台詞に、ピウスはどうも言い返すことが出来ないのだった。
「暫く謹慎だとよ」
言った通りゆっくりと歩いてきたピウスとアルマにそう短く言っては、頭を掻くサエウム。
「そこでだ、と言うことなんだが…」
と、サエウムが視線を逸らした先を二人が見ると、ようやくそこに人がいたことに気付く二人。
「………自己紹介」
「はい〜、僕は新雇用のカントゥス・オムニブスです〜!気軽にカントゥスとでも及び下さい〜。それにしても〜、結構物騒なんですね〜?どうやら先程も一悶着あったようですし〜」
「……まあ…闇オークション兼レストランって所ありますし……こういうことも少なからず起こり得ますから…」
苦笑いと嘆息を交えながらピウスは言う。
それだけじゃ足りないよ、とでも言うように、重ねてアルマが ピウスと相対するように嘲笑を交えて言った。
「こういうことが起こるのは、皆がどうしようもなく狂ってるからだよ」
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あき(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 返信遅くなってしまい誠に申し訳ありません!とっても嬉しいです、ありがとうございます!もうそろそろ更新できそうなので頑張りますね!ピウスさん私も好きですよー。 (2020年9月26日 21時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 沢山のお褒めの言葉、とても嬉しいです、ありがとうございます!これからも面白い作品作りに精進して参りますので、応援の程宜しくお願い致します!あ、私もピウス君好きです! (2020年9月20日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん(´`)(プロフ) - 夜分遅くにコメント失礼します…! え、え、凄く面白いです…! 個性的なキャラや、言い回し、圧倒的な文章構成力…!! しっかり作り込まれた一次創作本当に好きです…。文章だけでピウスくん好きになりました(*´`*) (2020年9月20日 23時) (レス) id: 554c742bde (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - サワーさん» さわんぬぁぁぁ!そう言ってくれて嬉しいです!ありがとうございます!これからも頑張るのでよろしくお願い致します! (2020年9月16日 17時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - サワーさん» 二人で一生懸命練り上げたキャラクター達なので、そう言って頂くと本当に嬉しいです!これからも、サワーさんのことを飽きさせない作品作りに努めますので、応援宜しくお願い致します! (2020年9月15日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
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