■ 記録18 ページ21
「……商品に傷は、付けられないんだけど」
ぽつりと呟いたアルマは
風が吹く。そよかぜと言えるはずだったそれは、エルフの周りをくるりと囲めば突然強風になり、エルフの少女を巻き上げた。小さな悲鳴は風の音にかき消された。
それは段々と強くなり、ピウスでさえも立っているのがやっとだと言うのに、アルマだけは平然とした顔であのいつもの笑みを浮かべていた。
「よいしょ」
アルマの言葉と同時にやっと風が止む。少女は、かなりの高さから落とされた痛みに顔を歪める。
先程傷は付けられないと言ったばかりなのに、にやにやと笑っているアルマを睨んだピウスはエルフの少女に近寄る。そのかすり傷に手をかざし、治癒魔法を使って治す。
「抵抗する気、失せた？」
少女は黙り込んでしまう。だが動こうとしない。
まぁいいや。そう呟いたアルマは少女を抱き上げて牢の方へと歩いていった。ピウスは唇を噛み締めた。
商品。
先程の言葉が嫌に耳に残っていた。
「ピウスくんってほんと優しいよねぇ」
君もそう思わない？
エルフの少女を牢に入れ、まだ時間があるからとアルマはその牢の前にいた。しゃがみこみ、俯いている少女の目を見ようとする。
「なんで傷治しちゃったのかなぁ」
「ねぇ知ってる？ 一つの傷で100万ディネロはくだらない損失があるんだ」
「僕には及ばないけど君は容姿も整ってるから、高く売れるんだろうねぇ。僕には及ばないけど」
「そんな裕福な暮らしを確保してくれたピウスくんに感謝するんだよ」
「君の"使われ方"は知らないけどさ」
「でも……。傷が着いていればねえ」
折角君を商品じゃなくしてあげようとしたのに。
「え、……」
少女が顔を上げた時にはもうアルマの姿はなかった。
魔法。
この世界には、魔力と呼ばれるものがある。それは人間ならば誰しもが持っているものであり、ただの石っころにもそれがある。どこにでも溢れているものだ。
それをどれだけ上手く操れるかによって精度が変わってくる。
ここまで全く出番がなかったのは、大きな魔力の波長で治安組織やらそれらに勘づかれることの無いよう、このような事態にしか魔法は使ってならない、というここの規則のためだが。
まぁ、アルマの殺人未遂時にピウスが魔法を使わなかったのとは完全に別物である。
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あき(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 返信遅くなってしまい誠に申し訳ありません！とっても嬉しいです、ありがとうございます！もうそろそろ更新できそうなので頑張りますね！ピウスさん私も好きですよー。 (2020年9月26日 21時) (
レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 沢山のお褒めの言葉、とても嬉しいです、ありがとうございます！これからも面白い作品作りに精進して参りますので、応援の程宜しくお願い致します！あ、私もピウス君好きです！ (2020年9月20日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん(´`)(プロフ) - 夜分遅くにコメント失礼します…！ え、え、凄く面白いです…！ 個性的なキャラや、言い回し、圧倒的な文章構成力…！！ しっかり作り込まれた一次創作本当に好きです…。文章だけでピウスくん好きになりました(*´`*) (2020年9月20日 23時) (レス) id: 554c742bde (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - サワーさん» さわんぬぁぁぁ！そう言ってくれて嬉しいです！ありがとうございます！これからも頑張るのでよろしくお願い致します！ (2020年9月16日 17時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - サワーさん» 二人で一生懸命練り上げたキャラクター達なので、そう言って頂くと本当に嬉しいです！これからも、サワーさんのことを飽きさせない作品作りに努めますので、応援宜しくお願い致します！ (2020年9月15日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
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