□ 記録10 ページ12
無言で睨み合う、二人の時間は止まったかのように思われた。
しかし、それを打ち破ったのは、医務室の扉が開いた音だった。
「ピウスさんは一命を取り留めましたよ」
医師がほっとしたような顔でそう告げる。
その声にサエウムが振り向き、医師と共にピウスの元へ向かおうとする。
「ちょっと、サエウム？まだ話は終わってないでしょ？」
殺気を隠そうともせず、鋭い目付きでサエウムを見据える。
「楽しいお喋りは後にしようじゃぁねぇかアルマ？」
「あは、楽しみすぎて待ちきれないなぁ？」
「まぁーなんて自己中なんだろうなあ？それとも、自分好きって言った方がいいかい？…犯罪者さんよぉ？」
「っ？！………っこ、の…！」
「お前は犯罪者なんだ、しかも人を殺しかけたってなぁ…それがどれ程の罪なのか、分かってんのか？」
サエウムはアルマの胸ぐらを掴み、一気に捲し立てる。
そして勢いよく突き放し、医務室へと入っていく。
突き放されてよろけたアルマは、そのまま尻餅を着いてしまい、後を追えなかった。
「く………そ、僕は、正しいんだ…！」
アルマの的外れにして悲痛な声は、誰に届くこともなく、虚無の庭に響きさえしなかった。
「ピウスさんの意識がいつ回復するかは定かでりませんが、命の危機は回避しましたよ」
「………そう、ですか…よかった……」
つい、安堵の息を漏らすサエウム。
「貴方が連れてきてくれなかったら、危なかったですよ」
医師が心底安心したといった表情で言う。
「……ごめんなさい、ピウスのこと、アルマのこと、お偉いさんに言っておいて貰えません？」
申し訳なさそうに、サエウムが医師に言う。
「……何か、これから彼とすることが？」
「んー、まあそういうとこです。彼奴はちょっと非常識ですから」
サエウムは苦笑しながら頭を掻き、医務室のドアノブを掴み、医師の方を振り向く。
「こんなこと頼んでごめんなさい、頼みましたよ」
「全く、手のかかる人がいるってのは大変ですねぇ…はい、頼まれましたよ」
互いに笑みを浮かべながら怪我人のピウスを残して医務室から出る。
「さぁて、アルマさんよぉ？お待ちかねの話し合いさ」
「あは、待ってたよ、サエウム？」
どろどろとしたようなその雰囲気が、まるで辺りの草木を枯らすかの如く沈んでいった。
いつの間にか、空は真っ赤に染まっていく。
地面で乾燥したピウスの血を誤魔化すかのように、夕焼けの太陽が全体を照らした。
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あき(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 返信遅くなってしまい誠に申し訳ありません！とっても嬉しいです、ありがとうございます！もうそろそろ更新できそうなので頑張りますね！ピウスさん私も好きですよー。 (2020年9月26日 21時) (
レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 沢山のお褒めの言葉、とても嬉しいです、ありがとうございます！これからも面白い作品作りに精進して参りますので、応援の程宜しくお願い致します！あ、私もピウス君好きです！ (2020年9月20日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん(´`)(プロフ) - 夜分遅くにコメント失礼します…！ え、え、凄く面白いです…！ 個性的なキャラや、言い回し、圧倒的な文章構成力…！！ しっかり作り込まれた一次創作本当に好きです…。文章だけでピウスくん好きになりました(*´`*) (2020年9月20日 23時) (レス) id: 554c742bde (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - サワーさん» さわんぬぁぁぁ！そう言ってくれて嬉しいです！ありがとうございます！これからも頑張るのでよろしくお願い致します！ (2020年9月16日 17時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - サワーさん» 二人で一生懸命練り上げたキャラクター達なので、そう言って頂くと本当に嬉しいです！これからも、サワーさんのことを飽きさせない作品作りに努めますので、応援宜しくお願い致します！ (2020年9月15日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
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