□ 記録1 ページ2
「…にしてもよ、すげぇ量の人だかりだよな…」
サエウムは裏口へ通じる廊下の途中にある、分厚く高そうなカーテンから少し顔を覗かせ、会場を見渡す。
会場には、一人、またに一人と、顔を殆ど覆い隠すような仮面を着けた人が入ってくる。
オークションが始まるまでの時間、数は増えるばかりで、会場は、汚い金の臭いがするようなきらびやかな衣装を身に纏った人達でごったがえしている。
「…別に、いつもこんな感じじゃないですか。周りをちゃんと見ていないんですか?」
ピウスが毒舌混じりに、溜め息混じりにそう言った。
「そうかも知れないけどな……こんなの買って何の得になるんだ?」
「貴様ら下等民族は、精々貧相な物で着飾ってろって言いたいが故に…じゃないですか?」
「ま、別に俺達にとっちゃあどうでもいいんだがな」
彼らはあくまでも職員であり、人のことを考えるよりも、自分のことを考えている方が有意義である…と考えている人がいるような場所で働いている。
勿論、そんな人ばかりではない、ということは頭に入れておくべき情報だろう。
好きでこの仕事をしている人がいたり、生活する上で必要になってきたせいで仕方なく仕事をしている人がいたり。
ここで働く人達にはそれ相応の理由が付く訳だ。
無論、ピウス達も例外ではない。
「壺って言っても、どうせ汚れるだろ?そんなもの何故わざわざ買うんだ?」
「今更それを聞きますか。サエウムさん、一体貴方はどこでどのくらい働いていたつもりですか?」
「……さっすが、ピウスの毒舌は心に来るものがあるな…」
「そもそも来たそれを受け入れる心が備わってるんですか?」
こうして、未だ何の出番のない三人組が談笑している間にも、オークションの準備は、着々と進められていた。
オークション………闇オークション。
その会場となるレストランで働くアルマ、ピウス、サエウムの三人組……彼らの仕事ぶりは次回の記録に回させて頂こう。
「ではでは、レディースエンドジェントルメン」
そんな透き通った声が会場内に響きわたる。
その一声で会場内に静かな空気が流れる。
闇オークションが、遂に目の前で始まった瞬間だった。
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あき(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 返信遅くなってしまい誠に申し訳ありません!とっても嬉しいです、ありがとうございます!もうそろそろ更新できそうなので頑張りますね!ピウスさん私も好きですよー。 (2020年9月26日 21時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 沢山のお褒めの言葉、とても嬉しいです、ありがとうございます!これからも面白い作品作りに精進して参りますので、応援の程宜しくお願い致します!あ、私もピウス君好きです! (2020年9月20日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん(´`)(プロフ) - 夜分遅くにコメント失礼します…! え、え、凄く面白いです…! 個性的なキャラや、言い回し、圧倒的な文章構成力…!! しっかり作り込まれた一次創作本当に好きです…。文章だけでピウスくん好きになりました(*´`*) (2020年9月20日 23時) (レス) id: 554c742bde (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - サワーさん» さわんぬぁぁぁ!そう言ってくれて嬉しいです!ありがとうございます!これからも頑張るのでよろしくお願い致します! (2020年9月16日 17時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - サワーさん» 二人で一生懸命練り上げたキャラクター達なので、そう言って頂くと本当に嬉しいです!これからも、サワーさんのことを飽きさせない作品作りに努めますので、応援宜しくお願い致します! (2020年9月15日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
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