モブ探しなんてめんどくさい

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最初に変だな、と思ったのは小6の時。
　友達が私に相談してきた時だ。
　人がシルエットに見えたり、他の人の顔がボヤけてみえる、と。
　顔がへのへのもへじだったり真っ黒だったりするのだ、と。
　何かの病気か、と泣きながら相談してくれた友達のことをよく覚えている。
　その友達は陽キャだったし、まさか泣くなんて思ってなかったけど、今考えてみれば確かにそんな状況に陥れば恐怖しかないだろう。
　それでも相談してくれた友達を見て、いい親友を持ったなと思った。
　そして中学生。
　その時の私は美術部に入っており、人の顔をデッサンするという課題が出た。
　そこで向かい合ったのは中山、という名前の目と口がない女の子で。私にはどうしてもそういうふうにしか見えなかった。
　仕方なくその絵を描いて提出すると何故か顧問に誉められる。よく特徴をつかんでいるな、と。
　あぁ、やっぱりそういう顔をしているのかと思った。
　つまり、この世界は漫画なのであろうと。それならば納得がいく。
　そして思った。陰キャってだいたいがいじめられてへん？ と。
　偏見かもしれんが。
　いや、でも。もしもだ。もしもの話だ。
　だいたい影が薄く、眼鏡をかけているのがテッパンではないだろうか。私もそれに当てはまってしまっている。あるわけ無い。……けど、友達がいないってのは問題じゃないだろうか。

　ということで友達を作らなければ。
　我ながら飛びすぎた話だな、と思う。
　まぁね、あるわけないんだけどね。この私が虐められるなんてうん、あるわけないしね、そんなに心配することでも、な、ないしね、手なんて震えてなんかいないし、でも、友達は1人くらいいたほうがいいよね、別に虐められるどうこう関係なしに。



　でもあんま目立っちゃうとなぁ……。よっしゃ、モブと友達になろうではないか。
　

　と、思ったものの。

「モブッ、どこだよぉ……！」



　ここ数日間探したが、いないのである、へのへのもへじとか。
　シルエットとか。顔の部品かけてるやつとか。
　
中学にはいたのに高校にはいないとか……。

　モブを探すことから始めるか。




　とても長い日常が幕をあける。

　……なーんてね。

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