逃げただけでした。#1

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あ、と気付く同時に私の顔は引き攣った。




余計なこと言ったかも。
こんなこと、別に言わなくても良かったのに。

葛葉の勢いに押されそうになったのを、どうにかしようとして、それが裏目に出てしまって。




でもさっきの私の発言は、誰が聞いても頭を傾げてしまう。





「＿＿＿＿＿＿なんで？」





案の定そう口にした葛葉がいて、
私は今度こそ追い詰められた様な気分になった。







「来月椎名達とオフコラするんじゃねえの？」

『そうなんだけど、』




　

＿＿＿＿＿＿＿私は、出来ないから。

そう正直に言ってしまうと、｢なんで？」と同じように聞かれるんだろう。



そうなったら、私は。
来月から活動休止することも、言わなきゃいけなくなる。

それを言ったら、目の前の彼はどんな表情をするだろう。は？と言いたげに固まるのかな。あの時みたいに。







『多分............来月も忙しくて出来そうにないから、』







＿＿＿＿＿＿なんて。


葛葉に後ろめたさを感じながらもそれを隠して、視線を逸らしてから、嘘を吐いた。
でも少しの沈黙の間、何かを考える様な表情を見せた彼は。






「うそ」






すぐに私の嘘を見破った。
一言、こちらをじっと見つめて吐き捨てる様に言った。






『なんで、』






＿＿＿＿＿＿どうして。


目を丸く見開いた。
視線を戻して、嘘を見破られたことへの疑問が口から漏れた。


驚く私に、「それくらいわかる」と彼は返してこう続けた。





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