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私の視線に気付いたのか、そらるさんは眉を顰めて。
それに私も慌てて、顔を伏せた。
______待って、さっき。
そらるさん、まふくんの名前呼んでたよね?
じゃあ、今そらるさんが電話している相手ってもしかして。
もしかして、まふくん...?
「_____え、知り合いなの?」
そらるさんの、驚いた様な声で。
ゆっくり顔を上げれば、こちらに視線を向けるそらるさんはこちらを見つめて、目を丸くしていた。
「まふまふが知り合いって言ってるんだけど」
「え!?」
天月さんが、声を上げると同時だった。
ガチャリ、とドアか開く音がして。
この場にいる全員一斉に、そちらのに視線を向けた。勿論、私もだった。
一瞬、時間が止まったかと思った。
ドアが開いて、出てきたまふくんの姿に息が詰まった。
ばち、と視線が交わる。息を呑んだ。
驚いた様な、表情でまふくんは私を見つめていた。
目を丸くしている、っていう表現がきっと正しかった。
「_____A、ちゃん?」
そんな表情が、何でここに、と疑問を浮かべている様に見えた。まふくんと、そらるさんと、天月さんの3人の視線が一斉に私へと注がれた。
驚愕と、疑惑、好奇心で満たされた6個の瞳。
それを一気に向けられた時、心臓が一度大きく鳴る。
それと同時に、一気に羞恥心が湧き上がった。
……………居た堪れない。
一歩、そしてもう一歩。後退った。
私が、私なんかが。
ここに居ちゃいけない。そう、反射的に思った。
頭は真っ白だった。何も考えられなかった。
気が付いたら、頭を下げて。そして、逃げる様に駆け出した。
ぎゅっと、紙袋を両腕で抱き締めながら。
まふくんと、そらるさんと.........それから天月さんに背を向けて。走り出していた。
マンションの廊下を、一直線に走っていた。
普段運動なんてしないから、直ぐに息が上がる。それでも、そんな事気にしてはいられなかった。
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空梅雨(プロフ) - 肴さん» わーー!!名前のミスすみません!!ずっと気付いてなかったのでほんとに助かりました...!!それと更新停止ほんとにすみません、、最近になってようやく続きを書いてるところです、、(最後になりましたが)お話読んで下さってありがとうございます...!! (2023年3月1日 13時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
肴 - めちゃくちゃ面白いです……。大好きです。途中2話ほど「叶恋」さんになっていた所がありましたので一応……。一気読みして最後え!更新停止!?とめちゃくちゃ驚きました。更新ゆっくりと楽しみにしています、 (2023年3月1日 5時) (レス) @page50 id: d8a709d348 (このIDを非表示/違反報告)
空梅雨(プロフ) - LiLiKaさん» タイトルも含めお話自体がなかなか共感しにくい内容かなあ、とたまーに後悔したりしなかったりなのですがそう言って頂けてすごく嬉しいです....!!ありがとうございます🙏🏻 ̖́-励みになります....!! (2023年1月13日 23時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
LiLiKa(プロフ) - P活系に抵抗があって今までどの作品も読んでなかったんですけど、一気読みしちゃいました!作品もすごく魅力的なんですけど、私みたいなP活女子に抵抗あっても読んでるうちに共感したりとかあって、これからの見方も変わりそうです! (2023年1月11日 12時) (レス) id: 0d7a09bcbc (このIDを非表示/違反報告)
空梅雨(プロフ) - 千々さん» わ〜!ここまで一気読みして下さってありがとうございます…!!私の拙い文章で感情移入できました、なんて身に余るお言葉です🤲🏻´-更新頑張れそうです、ほんとにありがとうございます! (2023年1月2日 22時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空梅雨 | 作成日時:2022年6月20日 9時