パパ活

3 (まふまふさいど） ページ3

(まふまふさいど)





ピンポーンとインターフォンが鳴って、あの子の姿が画面越しに映った。はーいと声を掛けて、マンションのオートロックを解除する。


まだかな、と彼女を待っている間。自分の顔がにやけていることに気付きつつも、それには知らないふりをした。

程なくして自分の部屋横のインターフォンが鳴ったので、鍵を開けてドアを開く。







ドアの向こうには、愛おしいあの子がいた。


こんにちは、と言うと笑顔で返事をしてくれる。

自分より頭一つ分くらい小さい身長で、顔に笑みを浮かべて、僕のことを見上げてくれる瞬間が好きだった。




そのままいらっしゃいと声を掛けて、Aちゃんを部屋に上げる。彼女のために用意したお菓子と紅茶を持って、彼女の隣に座った。

色とりどりのお菓子を前に、目を輝かせるAちゃんに、何が食べる？と問い掛けた。











僕とAちゃんは、恋人関係でもなんでもない。

彼女は僕のことをあまり知らないし、僕も彼女のことはあまり知らない、そんな曖昧模糊な関係。


僕の家で自分の話を聞いてくれて頷いたり、笑ったりしてくれる。一人暮らしで、友達も少ない僕を癒してくれる。

その時間が自分にとって、生きがいだった。





自分が音楽活動を通して、顔や経歴、生年月日も何もかもがネットに出ている立場であることは、自分が一番理解している。



だからこそ、このネット社会を生きる中。

絶対に超えたらいけない一線や、不祥事を起こすことの危険さやリスクも分かっているつもりだ。



そして、Aちゃんとの関係が世間体で良くないものと捉えられてるのも、分かってる。
もし、僕と彼女の関係が世間にバレたら............取り返しのつかないことになることも、全部。





でも、止められなかった。
自分の想いを自覚してしまえば、彼女とただ一緒の時間を過ごす関係にも満足出来なくなってしまった。


もっと、もっと。そんな欲が僕を支配している。

でもそんなこと、彼女は望んでいないから。
だから、いつもその気持ちは心の奥底に閉じ込めておくんだ。





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