アイカツ！フューチャリングジェネレーション 第1巻

第10話 秘密 ページ35

あんず「ちょっと、何してるの？」
先輩A「は？誰？」
アヤメ「お前ら・・・、」

村崎さんは先輩らしい女子たち4人に囲まれて壁に追い詰められていた
その割には腕を組んで強気な態度だけど

先輩B「あ、この子、理事長の娘じゃん」
先輩C「だから何？部外者は帰って」
A「関係なくない、村崎さんの友達だし」

私も声を上げる
なんだかわからないけど、続けさせないほうが良さそうだし

先輩C「うちらアヤメと真面目な話してんだけど」
あんず「いじめてるようにしか見えないんですけど」
先輩D「はぁ〜いいよもう、面倒くさい」

先輩たちは舌打ちして、それからぞろぞろと背中を向けた
た、助かったのかな

その時、先頭で村崎さんに迫っていたリーダーっぽい子が、振り向きざまにこう吐き捨てた

先輩A「とにかく、次にうちらのトラックをその"偽物"で走ってんの見たらマジ許さないから」


どういうこと？
村崎さんが、偽物？

やがて先輩たちの姿が見えなくなって、私たちの間に気まずい沈黙が流れた
夏の生ぬるい風が肌にまとわりつくみたいな気がする

アヤメ「あのさ、ありがと」

その沈黙を破ったのは、村崎さんの言葉だった

あんず「どういたしまして」
A「今の人たち、陸上部だよね？」

何があったのか聞いてもいい？とは言えなかったけど・・・、
村崎さんは何かを察したように頷くと、制服のスカートをつまんでめくりあげて見せた

っていきなり何してんの！
見えそうじゃん！
ばか！えっち！

アヤメ「違う！これだ、よく見ろ」

村崎さんが右脚の太ももを指で横向きになぞると、足の肉が"ずれて開いた"


え？


一瞬、何が起きたのかわからなかった
皮膚、血管、骨、そして金属・・・、
精密な人体模型のように、本物に近いのにどこか作り物っぽくて・・・でもそれは村崎さんの足について動いていた

あんず「電動義足・・・、」

あんずちゃんの呟きで、私はやっと理解した
でも、そんな、だって村崎さんは陸上部の元エースで・・・、

アヤメ「春休みくらいにさあ、でっかいドローンが落ちてニュースになってたの覚えてるか？」
A「え？うん」

あの頃のニュースはそればっかりだったからよく覚えてる
コンテナを運ぶ巨大なドローンが住宅街に墜落して、家が何軒も壊れたのだ
幸い死者は出なかったけど当然怪我人はたくさん出た

一番重傷だったのは小学校を卒業したばかりの子供だったとか・・・、


アヤメ「あれ、あたしなんだ」


私たちは絶句した

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