Peacock and…Who is you?【歌い手】

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「はい、お疲れさんでした。着きましたよ」


あの後、状況を説明すればすぐに納得してくれた二人に清水寺に連れて行ってくれた。


ここから京都まではかなり遠いのだが、移動中ほぼ寝ていたのであまり長い間車に揺られていたような気はしなかった。


その事を告げると車酔いしていたそらるさんに恨みがましい目で見られた。怖いです。


「一応固まって探しましょ。バラバラになってもうたら護衛係の俺が着いてきた意味なくなってまうわ。」


という志麻くんの提案で固まって境内を巡ることにした。


清水寺といえばあの清水の舞台が真っ先に思い浮かぶのだが、それ以外にもたくさんの建造物がある。


かなり広い境内に気が滅入りそうになりながらも、それでは折角連れてきてくれた二人に申し訳ないし、A様も救えない。


「清水寺っていうと、大慈大悲をあらわす観音さまの霊場らしいですね。あと、観音さまは僕らの感謝の心が具現化したっていうか…うぅん、説明下手で申し訳ないです」


センラくんは首を振ったが、彼の言いたい事は大方伝わった。


大慈大悲と感謝か…


確かに、それを聞くとその伊東司くんが来るにはぴったりな場所に思えた。


「絶対来てるとは限りませんしねぇ…」


天月くんが大勢の観光客に眉をひそめながら言う。


さすが観光名所だけあって、夜でも人も多い。どうやら人混みが苦手なようだ。


そんな人混みに揉みくちゃにされながらもしばらく探したが、夜間特別拝観とやらももうすぐで終わってしまうらしい。


「…明日、もう一回来ますか。どっか近くのホテルでもとりま…」


「あぁーっ！！！」


突如、センラくんの声を遮って綺麗な高音でまふが大声で叫んだ。


まふの視線は、驚く観光客の中に紛れる一人の男性に一直線に注がれていた。


「…真冬くん？」


「わ、ぁぁあ…！！か、歌詞さ、！！」


目を見開いた煤竹色の着物を着た男性に駆け寄るまふは、まるで迷子の子供が親を見つけた時のような表情をしていた。


そしてすぐに、あの人こそがまふの大切な人で、A様の愛する人で、伊東司という名を持っていた人だと分かった。

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