神様に詳しい人の所 ページ11
「…で、なんで俺の所に来るかなぁぁぁぁ？」
「だってお前が一番詳しいし…」
「俺今満身創痍の重症なんだけどぉぉぉ？」
神様に詳しい友人ことシヴァは、1日に二度も訪れた自分の親友を半眼が睨む。えとはそっと目をそらした。
「シヴァさんって神様に詳しいんですか…？」
「一応はね。神様にどういう態度をとるかは、それで決めているし」
確かに。思えば死神様にあんなにラフな態度をとれていたのは、死神様がその程度で自分を殺さないと分かっていたからなのかもしれない。
(それにしても…きれいな部屋だなぁ…)
どぬくは、部屋の中を改めて見回す。
壁に並んだ本棚に、整えられた部屋。家具も抹茶色のものを揃えている。
ベットの横には移動できる小さなタンスが置かれていて、その上には写真立てと水の入ったコップが置いてある。
部屋の角には等身大の鏡があり、その横にはレバーが設置されていた。
(ん？あの写真立て―――倒れてる)
どぬくは小さなタンスに近づき、写真立てに手を伸ばした。
写真立てにふれる寸前に、シヴァは口を開く。
「で？要件は？」
「破壊神様の祠の場所」
「…！」
シヴァは一瞬だけ目を見開き、そっと目を伏せた。
「…いいよ。教えてあげる」
シヴァはベットから立ち上がった。
満身創痍、と言っていた割には、自然な足取りだ。
そのままシヴァは、部屋の角にある鏡の前に立つ。
シヴァと鏡の虚像が重なって、シヴァの表情が見えない。
「それにしても、今日それを聞かれたのは、三人目だよ」
「三人目？」
「うん。三人目」
鏡を見たまま、シヴァはそれはそれはおかしそうに笑った。
「一人目は死神様。結構必死そうな顔だったよ。俺が場所を教えたら、すっごくびっくりしてた」
シヴァは、こんどは自分が驚いたような声で続きを話す。
「二人目は生き神様。あの人は死神様より賢かったなぁ。ちゃんと全部、分かってた。
その上で聞いてきたよ。死神の場所を」
シヴァの声から、感情が抜け落ちる。
「三人目は君たち。―――本当は教えたくなかった。特にえとちゃんには」
「私には？」
「…だって俺は、少なくともえとさんを親友だと思っていたからね」
シヴァは、鏡の目の前でフードを取る。
「みーんな、俺に最初に同じ質問をした」
シヴァは、笑いながらこちらに振り返った。
「破壊神様はどこにいる？って」
いつもパーカーで隠れている右目の下には、首までのびた亀裂があった。
目の前にいるのは、Bランク妖怪でえとの親友であるシヴァではない。
自らを壊すことで開放を与える破壊神、シヴァだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：青空 冬 | 作者ホームページ：sakurasaku
作成日時：2024年2月10日 22時
