絶対に守りたい人 ページ9
「時間がループしてる…？」
本を読んでいたもふは、その言葉に思わず目を見開く。
そんな事言われても、俺はずっとここで本を読んでいたわけで、戻った記憶なんて…
いや、その記憶がないから困っているわけで、他の時間軸には他の時間軸の俺がいて…
あっ、頭が痛くなってきた。
そんな俺の事など気にせず、たっつんが首を傾げる。
「ほんで、毎回座敷わらしさんが死んどる訳やな…。一大事やん！」
この兄弟はそんなことも分かっていなかったのか。
でも、実際一大事だ。
不可逆の原理。進むことは出来るが、戻ることはできない。
もし、その現象が本当に起きているのなら、不可逆の原理をぶち破っている。
でも、どぬくさんがそんな冗談を言うとは思えない。
「…分かった、信じる」
どぬくさんは、まるでその言葉が分かっていたかのように頷く。
「師匠は俺が帰ってきた時、絶対に殺されている。
あとはシヴァさん…えーっと、Aランク妖怪の蜃気楼が目の前で殺される。
その時、どの時間でも絶対に現れるのが、フードを被った男の人だ」
「特徴とかは、分からんの？」
「うん。黒いフードっていうのは分かるんだよ。
でも、目の色も、髪の色も、全然分からない。匂いはどこかで…」
匂い？
その疑問を口にしようとしたが、どぬくさんは妖狐だったという事実を思い出し、口をつむぐ。
「じゃあ、急いで向かおうか」
「うん！ありがとう、ふたりとも！」
その笑顔が、かわいらしくて、愛おしいと思ってしまうのは、間違いだろうか。
自分のことを守ってくれた、俺のヒーロー。
(今度は俺が…どぬくさんを守る番だ)
たとえ他の時間軸の俺が、どぬくさんを守るのに失敗していたとしても
俺は絶対に―――どぬくさんを守る。
(とか、思ってるんだろうなぁ、あのバカな神様は)
男は、影で笑う。
前までは、その優しさがありがたかった。
それでも今は、その優しさが、堅実さが、滑稽でたまらない。
どぬくはどの時間軸でも、大切な人を守ろうとしている。
その気持ちは、男には嫌というほど分かっていた。
(でも、大丈夫…俺が全部終わらせれば、この世界線のどぬくも、みんなも、助けられる)
だから―――
俺はもう、引き下がれないんだ。
―――それぞれが守りたい人に思いを馳せて、時間軸が動き出そうとしていた。
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青空 冬(プロフ) - みいなさん» コメントありがとうございます！やっと２０話行きましたー！応援ありがとうございます！神ってる…✨めっちゃ嬉しいです！いつもありがとうございます！ (2月10日 22時) (
レス) id: dfbd65d4da (このIDを非表示/違反報告)
みいな - わあ〜！！20話おめでとうございます！めちゃくちゃ楽しみです！毎回切る所が神がかってるんですよ、、。（内容も神、ハイ。）6章も見ます！！頑張ってください！！！ (2月10日 22時) (レス) @page20 id: 0fded84a07 (このIDを非表示/違反報告)
青空 冬(プロフ) - みいなさん» コメントありがとうございます！そうなんです…でも、のあさんも結構出す予定です！引き続き見てくれると嬉しいです！ (1月25日 20時) (レス) id: dfbd65d4da (このIDを非表示/違反報告)
みいな - すごい展開になってきましたね……！！のあさん会なのかな？っと思っていたら急な展開に！想像力半端ないですね、、（いい意味で）とっっっっっっても面白いです！これからも応援しています！！ (1月25日 15時) (レス) id: 0fded84a07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青空 冬 | 作者ホームページ：sakurasaku
作成日時：2024年1月15日 22時
