頑張り屋の廉くん23

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廉side

そして、気づいたら救急車は病院に到着していて…

あっという間に治療室に運ばれていった海人。


紫「あ、廉…ここ」

「え？」


紫耀が俺の左手をそっと取った

そしてその時、漸く俺自身も気づいた。


多分落ちた時にどっかに当たってしまったらしく

手のひらから出血してた。


紫「痛くない？って、痛くない訳無いよな」

「っ…はぁっ、大丈夫…痛ない、」

紫「とりあえず、ばい菌とか入ると危ないから、診てもらおう？」


そう言ってくれた紫耀の言葉に

小さく頷けば、紫耀は俺の体を支えるようにして立ちあがって

看護師さんを見つけて、俺の怪我と貧血気味という事まで伝えた


看「こちらの処置室へどうぞ」


看護師さんはすぐに処置室へ誘導してくれて

俺は紫耀と処置室の中に入った。


看「まず手の怪我から、治療していきますね」

「っ、はいっ…」


渡辺先生ちゃうかったから、めっちゃくちゃ怖いけど

紫耀も居っててくれるし、何より海人は今1人で

治療室の中で頑張ってるんや。


数か月だけやけど、俺の方がお兄ちゃんなんやから

これくらいで弱音吐いたらあかん。と

自分にまた言い聞かせて、消毒を頑張った


「っ…いっ」

看「はい、終わりましたよ。後は貧血の点滴しましょうね」


そう言って、ミニテーブルみたいなんが

目の前に現れて、腕を乗っけられて

また腕に消毒されて…その直後に腕に走った小さな痛み


「っ…」

看「ここで横になってても構いませんので」

紫「ありがとうございます」


看護師さんは俺と紫耀にお辞儀をして

終わった頃に来ますね。とそう言って部屋を出た


紫「廉頑張ったね」

「ん…やって、海人…の方が、今…1人で頑張ってるやん、やからっ…」

紫「うん、そうだね。でも苦手なのによく頑張ったよ」


そう言って俺の頭を優しく撫でてくれる紫耀


紫「貧血しんどいでしょ。寝てていいよ。点滴終わったら起こすから」


その言葉に一瞬迷ったけど

ちゃんと元気な状態で海人の顔を見たい。

そう思ったから、お願い。そう言って目を瞑れば

あっという間に夢の中やった。



＊



それから次に目を覚ますと、紫耀が俺を起こしてくれたみたいで


「ん…ありがと、」

紫「いーえ、うん、だいぶ顔色戻ってんな」

「おん、もう…クラクラしいひん…」


点滴のお陰で、さっきまでくらくらしてた頭も

気持ち悪さも。すーっとどこかに行ってもうて

体が随分と楽やった。


それから紫耀と海人の帰りを待つ事に

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