狼 青 年 〜素顔を見せた彼〜

＊ ページ2

宏太side



…………え。


雄「なに、これ……」





………一緒になった大ちゃんと雄也と、他愛もない世間話をしながら学校へ向かっていた俺ら。

だけど。




…学校へ向かった途端………俺らは、絶句した。







………門の前に集まる、全然知らない人たち。


若い男女もいるし、主婦っぽい人もいる。

カメラを構えている人や、機材を持ってる人だって。

大勢がつめかける校門を、逃げるように抜ける生徒たち。




「あの、ここに山田涼介くんっています！？」

「山田くんが茜だって言うのは聞いたことある！？」

「クラスメイトだという方はお話聞かせて頂けませんかー！」

「他のHoney Beeのメンバーもこの学校なんですか！？」





…………マジ、かよ。







正直。


ここに涼介がいなくて良かったと、ほっとした。





「あ！君たち、山田涼介くんってこの学校かな！？」

「この子知ってる！？」



宏「……すいません、迷惑なんで」




めいっぱい俺なりに睨みつけながら、俺も2人を連れて他の生徒同様に足早に校舎に入る。

ざわつく胸。

ただ事じゃないと…気持ちばかりが焦る感覚。





雄「……んだよ、あれ…」

大「先生たちも今門の方走ってったよ」




…下駄箱で、早くもげっそりしながら、小声でそんな会話をする俺ら。




周りの人たちも……そちらの方をちらちら見ながら教室に向かっていて。

先生たちは大声を出しながら、立ち去るように言ってるけど……そんなんじゃ引き下がらない大勢の人。



もちろん先生たちだって、俺らが、そして涼介がHoney Beeであることは知らない。

だから、何か言うことも出来なくて。




「近所の方の迷惑にもなります！警察も呼びますよ！」

「少しだけでもお話聞かせて頂けませんか！」

「っ、何も知らないんです！」





門の前で、そんな騒ぎになってる人たちを………眺めることしか、出来なかった。

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