狼 青 年 〜素顔を見せた彼〜

＊ ページ3

裕翔side



「あ、中島！あれ…山田、休みなの？」

裕「…………そうらしいね」



…騒ぎは、門の前では収まらなかった。



1人早めに来ていつものように予習している中、教室に入ってきてすぐに声をかけてきたのは、いつもヤマと仲良くしてる、いわゆる“一軍”の人間。



「なぁ、中島知ってる？アイツのこと」

「アイツが茜だったらやべぇよな！」

「でも山田くん、全然雰囲気違うよー笑」

「違いすぎてビビるわ笑」

「それな！ありえないって！」




俺に声をかけてきたくせに、勝手に盛り上がるその集団に鬱陶しさを覚える。

勉強しようとするけど………なんだか、いつものように集中は出来なくて。




「えーでも、もし本当にそうなら踊って欲しいよね！」

「……そう言えばダンス部、5人じゃね…？」

「………え！？嘘、もしかして！？」

「いやいや、だとしたら中島もってことだろ？ないだろ絶対に笑」




………ちょっとイラッとはしたものの。


……………ヤマだけの問題では無くなっていることを、痛感した。





この騒ぎがエスカレートすれば、この学校、そして近所にも迷惑になる。

俺らのことがバレれば、さらに騒ぎは大きくなるはず。

今後俺らの活動や生活にだって関わるし。

最悪、家族だって巻き込まれるかもしれない。





「ええ、でもさぁ……前動画で、空がガリ勉って…」

「え、マジ、ほんとに？」

「いやにしても……茜も空もキャラが違うというか……」

「さすがにないよね…？笑」






………もしかしたら。






もう………これ以上、秘密を重ねることは出来ない…のか……？

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