狼 青 年 〜フードの奥の素顔〜

＊ ページ35

光side





光「……………そう」





…俺の言葉に、薮くんはこくんと頷く。







学校内をぶらぶらしていた俺は、薮くんの連絡ですぐ駐車場へと向かった。



涙に濡れた顔の涼介は、だらりと座席にもたれ。

わざわざすみません、といつもの様に大人びて言う薮くんの目も、何故か潤んでいて。



何事かと思えば……Honey Beeのみんなに、涼介の口から自分の過去を話したんだと聞いた。







………そっか。



話せたんだ。

……また、強くなったんだ…






光「他の子たちは？」

宏「マネージャーと一緒に離れました。……とりあえずふたりきりになった方が落ち着くかと思って」




さっきまで過呼吸起こしちゃってて…と、心配そうに涼介の頬を撫でる薮くん。

涼介は、俺と薮くんをちらっと見てから、俺の腰に倒れかかるように抱きついてきて。



だいぶ落ち着いた、みたいだな。




…………その状態のまま…薮くんの頭に、ぽんっと手を乗せた。






宏「え…」

光「…………ありがとね」



宏「っ…………いえ、」






…薮くんだってまだ、高校生だもんね。



そのままぐりぐりと頭に手を押し付ければ、少し照れくさそうに…ようやく、笑った。





光「…っし。涼介はとりあえず引き取っちゃうね。薮くんは学校行くんでしょ？一緒に送る？」

宏「あー………とりあえず他の奴らと連絡取ります」









.









裕翔side





雄「………裕翔は…知ってたの？」

裕「……施設暮らしってことだけ。………でもそれを、異常なまでに隠そうとするから……何かしら抱えてるんだろうなとは思ってた」




…けどまさか、あんな深い事情があるなんて知らなかった。




それなのに……………俺は、あの時。


嫌いなんて言って突き放したり、無理矢理事情を聞き出そうとしたり。


……酷いこと、しちゃったな。

今更後悔したって、もう遅いけど。






大「……でも、教えてやらねぇと」

秀「ん？」



大「………俺らは………山田が今まで出会った奴らと同じなんかじゃない」





………そうだ。




ヤマは何も悪くないのに…そうさせたのは、ヤマの過去なのに。

ヤマはなにか話す度に、嘘をついてごめんなさいって謝ってた。


あれは、俺らがきっと……今までの奴らみたいに、馬鹿にしたりいじめたりすることを恐れてるからだ。





裕「…ヤマに、会いたいな…」



事情を知ったからこそ。

今は、そんなヤマのそばに、どうしても居てあげたいと思った。

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