狼 青 年 〜フードの奥の素顔〜

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元々学校では浮いてた存在だった俺は、完全にいじめの対象になった。





……そりゃそうだ。


母から虐待を受けていた同級生。
殺人鬼である男の息子。
施設暮らしの惨めな男子。


教室ではハブる癖に、気が向いたら俺に絡んで、心無い悪口を散々耳元で聞かされた。




施設の人もお前を住まわせるのは嫌だと思ってる、だとか。

お前もいつかは人を殺す、だとか。

お前はろくな大人にならない、だとか。



それに加え、ホウキで殴られたり傘を壊されたり。




母からの暴力が無くなったと思えば、結局増えていく体の傷。

泣く気力だってなくて、いつもボロボロで帰ってヒカを心配させる俺。


俺がいる意味って、なに？

親もいないし、誰からも好かれてない。
唯一面倒見てくれるヒカや、施設の子達にも、迷惑ばかり。




母さんが言ったように……死んだ方が良かったんじゃないか。
そう思った。







そのまま………中学に上がり。


俺の家庭の事情を知らない先輩もいたはずなのに……同級生からの噂が広まり、数週間のうちに全校生徒が俺に冷たい視線を向けるようになった。






『いつも陰気臭いよなアイツ。こわ』

『あの人の家貧乏だからお風呂入れないらしいよ』

『人殺したことあるんだろ？近づかないどこうぜ』

『やめろよ殺されるぞ笑笑』

『単純に気持ち悪いよね笑』

『早くいなくなってくんね？？』

『見てるだけで胸糞悪い』

『お前なんか皆嫌いだよ笑』

『あっれー？家族無し友達無し能無しの山田くんじゃん！笑』





陰口も暴力も、どんどん増えた。



水を張ったバケツに、頭を押さえつけられたり。

カッターを持たされ、自分の体に傷を付けさせられたり。



………ちりとりで集めたホコリを、口に無理矢理入れられたことだって。





『うわっ、汚ぇ〜っ！』

『出すなよきもちわりぃ！！』









『っ、ちょっと、何やってんの！？！？』








…………そんなとき。





初めて………人生で、初めて手を差し伸べてくれた先輩がいた。


それが、薮ちゃんだったんだ。




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