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ページ15

涼介side



裕「………俺は、兄失格で………医者失格だ。いや…………人間失格、かもしれない」



…………………先生の涙を、俺は初めて見た。


布団をぎゅっと握る先生から読み取れるのは、後悔しかなくて。

あんなに優しかった先生が。

俺を思ってくれた先生が。


………失格なんかじゃない。



ちょっとだけ…………間違えちゃっただけ。




大「今は失格でも、合格になるチャンスが無くなるわけじゃない」

裕「……っ…………」

大「………ちゃんと……罪を償ってください」


先生は、素晴らしい先生だったから。

きっと道を踏み外しちゃったけど、きっとまた戻ってこれる。

もう俺の先生になることは無いかもしれない。


それでも………また。


先生としてじゃなくても、どこかで会えたらいいなって………そう思える、素敵な男性だ。




裕「合格………っ…できるかな」

涼「出来るよ。………先生なら、出来る」

裕「……っありがとう…」





大「……それとね、先生」

裕「…はい……?」

大「……取り調べを受けてる間………俺が考えていたのは、涼介の事ばかりでした。きっと、先生のご両親も…………そうだったと思いますよ」









.









じゃあ、そろそろ。

そう言った大ちゃんに続いて、俺も立ち上がった。


そんなに多くの話は、もちろん出来なくて。
そりゃ……容疑者だから、なんだけど。



先生は突然、帰ろうとする俺たちに声を張り上げた。




裕「待って!!」

涼「………え…………」

裕「っ………あまりに色々ありすぎて…………すごく大切なことを伝えるの忘れてた……!!」




すごく大切なこと……?




大ちゃんと顔を見合わせ首を傾げた俺たちは、ドアに向いていた足を裕翔先生に戻して。


さっきよりも先生らしい顔になった裕翔先生を見つめた。


…………いや………先生らしい、じゃない。





裕「ごめんね。…………これが医者として、最後の仕事」



……先生だ………

ってことは大切なことって、俺の心臓のこと……?





大「っなんですか……!?」

裕「……………大丈夫、良い知らせだよ涼介」









………“ドナーが見つかったんだ”





Case8.fin

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しょりれん - 完成度が半端なくてびっくりしました! (2021年11月25日 20時) (レス) @page50 id: 103108e9a9 (このIDを非表示/違反報告)
海音 - この話とても面白くて度々読み返しに来てます!りずむさんの作品全て好きです!新作の更新も頑張ってください!楽しみにしてます^^* (2020年11月17日 23時) (レス) id: f3a5bd6aac (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん - すごいですね!これからも他の作品で頑張ってください!!! (2020年8月20日 7時) (レス) id: 4766001341 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - いろはすさん» コメントありがとうございます!そのとおりです〜!お名前だけお借りしました笑 (2020年5月20日 21時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
いろはす(プロフ) - 女の子の名前は古畑中学生ですね!!どこかで聞いたことあるなと思ってました笑 (2020年5月20日 18時) (レス) id: c890c969a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:楠木りずむ | 作者ホームページ:楠木りずむ  
作成日時:2020年2月22日 19時

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