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涼介side
……………そんな時だった。
婆「やめんか!!」
…お婆さんの声に…………全員が、一気に静かになった。
俺も幸平さんも、かっちゃんでさえ涙を止め、お婆さんを見つめていて。
今までで1番大きな声を出したお婆さんは、ヨロヨロしていながらも、かなり気迫があった。
婆「………そんなんで犯人が見えてくると思うかね……話し合いにならんじゃろ。時間もない。皆冷静になるんじゃ」
…そうだ……時間………
ハッとしてモニターの方に目を向ければ……残りは5分を切っていて。
…………かなり時間を無駄にしてしまったことに、今更気づく。
涼「ッ………ケホッ………ゲホッ、ゲホッ…」
早く………Mr.RPを見つけないと……
きっと、変な嘘なんかつかないはず。
この中に絶対にMr.RPがいる……
涼「ゲホッ、ゴホッゲホッ……!んんっ、ケホッ…」
あー、もう……時間がないって言うのに……
タイミング悪く出てきた咳に、思わず眉を寄せた。
シーンと静まり返った空間の中に、俺の咳だけが響く。
涼「ゲホッゲホッ…!ゴホッ……ゲホッ…っ」
あれ…………
…さっきまでは………すぐに治まったのに…
治まりそうに無い咳に焦って、なんとか止めようとするけど……
その分余計に苦しくなって、咳が余計に止まらなくなって。
涼「ゲホッ!ゲホッゴホッ、ケッホ……ゲホッ!」
幸「お、おい………」
光「涼介くん!」
思わず壁に手をついてやり過ごそうとする……けど。
それでも自分の体を支えきれなくて、床に膝をついた。
………苦しい……
さすがに、気づいた。
…………ただの風邪じゃない…
涼「ゲホッ…!!………ぁ……」
口をおさえていた手に、咳と共になにかが出てきて。
…………嫌な予感。
恐る恐る、自分の手を見れば……俺の手は、真っ赤に染っていた。
…………うそ………?
ゆ「きゃっ……!」
明「っちょ、救急車!!」
婆「ダメじゃ!…携帯なんて出したら……」
明「だけど!!」
涼「ゲホッ!ゲホッ……!」
焦る皆の声が、聞こえる。
それでも咳は止まらなくて、苦しさから解放されることも無く。
このゲームの恐怖より……今の症状の方が、俺にはよっぽど怖かった。
………せっかく移植した心臓で…………死ぬ……?
涼「ゲホッ、ゴホッ…!ゲホッ!」
血が、口から滴っているのが分かる。
俺……このままじゃ………
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しょりれん - 完成度が半端なくてびっくりしました! (2021年11月25日 20時) (レス) @page50 id: 103108e9a9 (このIDを非表示/違反報告)
海音 - この話とても面白くて度々読み返しに来てます!りずむさんの作品全て好きです!新作の更新も頑張ってください!楽しみにしてます^^* (2020年11月17日 23時) (レス) id: f3a5bd6aac (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん - すごいですね!これからも他の作品で頑張ってください!!! (2020年8月20日 7時) (レス) id: 4766001341 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - いろはすさん» コメントありがとうございます!そのとおりです〜!お名前だけお借りしました笑 (2020年5月20日 21時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
いろはす(プロフ) - 女の子の名前は古畑中学生ですね!!どこかで聞いたことあるなと思ってました笑 (2020年5月20日 18時) (レス) id: c890c969a8 (このIDを非表示/違反報告)
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