「死にたいです」 ページ21
涼介side
涼「…………足らない……」
大『へっ?』
……何かが足らない。
書き終わって印刷した文章を読んで、ふとそう思った。
何かの表現が、足らない……自分の文章には、大切な何かが欠けている………
涼「………有岡くん」
大『はい…?』
涼「…この文章に足りないものって、なんだと思いますか?」
大『えぇ……プロでもないし分かんないですよそんなの……少なくとも俺は、素晴らしい文章だって思いますけど』
……違う。違うんだ。技術的な面じゃない。
表現の仕方も、文の構成も語彙も問題ないはずなのに……何かが、足らない……
大『……ていうか、原稿の進み具合は?っていう俺の質問に答えてくださいよ』
電話口から、有岡くんの不満そうな声が聞こえる。
この場合、なんて答えたら良いだろう……
涼「出来てますけどぉ………出来てないです……」
大『日本語がおかしいです。………珍しいですね、行き詰まってるの』
涼「そりゃ、人間ですから……」
大『先生の行動はいつも非人間的ですけど』
涼「………とりあえず、ご飯作りに来てください」
大『パシリかい……』
はいはい、とダルそうに返事して、ブチっときれた電話。
携帯を置いて、はぁっと机に突っ伏した。
………確かに、こんなに悩むって久々かもしれない。
こうすれば読者を引き込める、こうしたら読者はこう感じる、こうすれば意外性を持つ……そういうのはもう、とっくにマスターしてたから。
涼「……なんなんだ…………」
じゃあ、何に悩んでるんだ?
何が足りてないんだ、何が問題なんだ。
涼「…………ん〜…」
意味もなく唸って、ボーッとすること数十分。
ピーンポーン……とインターホンがなって、パッと顔をあげた。
お腹すいた。
とりあえず有岡くんにご飯を作ってもらって……それから考えよう。
涼「はーい……」
モニターも確認せずに玄関に向かって、その扉を開けた。
…………それが、間違いだった。
涼「………え………………」
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ずみ - 完結おめでとうございます。ありやまの新しい関係性と山田さんの儚い個性と一般人とはいえ一般人では無い世界観に、あっという間に吸い込まれました。他の作品も読ませていただきたいと思います。 (2020年12月13日 11時) (レス) id: 8b98f4e28d (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - kanさん» ありがとうございます!気づかなかったですか…!気づいてくれるのも嬉しいし気づかれないのもなんか嬉しいです……!笑 次回作もよろしくお願いします! (2019年4月5日 10時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
kan(プロフ) - 完結おめでとうございます!今回も楽しく読ませて頂きました^ ^まさかメンバー全員の登場!そして裕翔くんの名前にはカラクリがあったなんて…!?全く気づかずに読んでました笑次回作も楽しみにしてます! (2019年4月4日 0時) (レス) id: 7f5ec1a8f4 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - 恋した月さん» ありがとうございます!次回作もよろしくお願いします!笑 (2019年4月3日 22時) (レス) id: 9a431af939 (このIDを非表示/違反報告)
恋した月(プロフ) - すっごく面白かったです! (2019年4月3日 9時) (レス) id: d6f1a4b68b (このIDを非表示/違反報告)
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