涼介、涼也、涼雅

〜９〜 ページ11

Aside


貴「は…？」

その言葉を頭が理解するのに少し時間がかかった。

貴「嘘でしょ…」

侑「本当だって。Aちゃん、今まで変だって思ったこと、なかった？」

確かに、あることはあるけど…

侑「それは全部、多重人格のせいなんだ」

信じられないけど…
でも、あまりにも侑李が真剣だったから、

貴「どういうこと？」

私は話を聞くことにした。

侑李は聞き返した私に、一瞬ホッとしたような笑みを浮かべてから、再び真剣な表情になる。

侑「まずね、涼介の中には３人の人格があるの。その３人の人格に…既にAちゃんは会ってる」

貴「えぇ！？」

思わず大声を出してしまった。

そんな私をよそに、侑李は冷静に説明をする。

侑「一人はそこにいる、涼雅。
荒っぽくて乱暴で、とにかく手におえない問だ…」

涼「うっせーな」

侑「…このとおり」

侑李は全然怯んでないけど、涼介はめちゃくちゃ睨んでた。

正直、怖い。

侑「もう一人は涼也。
優しくて紳士的で、一番温厚かな。
多分、Aちゃんが一番最初に会った人格は涼也だと思うんだけど…」

貴「あっ…まさか、転校初日の…」

侑李に言われてハッとした。

転校初日、道を教えてくれた…

涼『僕は涼也…うーん、涼介を紹介しとくべきかな？』

あれは、そういう意味だったんだ…

侑「そして最後は…涼介。
これは、そのまんまの涼介っていうか…なんの人格も混ざってなくて、意識も涼介本人ってことね」

確かに…私は知らぬ間に、３人の全ての人格に会ってる。

侑「この３人の人格が入れ替わるときは、このピンがとても大事になる」

そういって侑李がとりだしたのは、涼介が私を助けたはずみで取れたピン。

侑「普段はこのピンを左側に付けてるじゃん？あれは人格が変わらないようにするための重要な意味があったんだ」

重要な意味…？

侑「ピンが取れれば、人格は涼介から涼也になる。前髪が右分けになれば、人格は涼介から涼雅になる」

そういえば、転校初日、あの涼介…いや、涼也はピンをつけてなかったな。

今も、涼雅…は、ピンで固定されていた左分けが、ピンが取れて右分けになっている。

貴「なるほど…多重人格って、本当にあったんだ…」

確かに、それを踏まえると、今まで変だと思っていたことに説明がつく。

お、そのとき。

ピュオォーーー！

いきなり突風が吹いた。

本当に短かったけど、結構強め。

涼「…うっ」

その途端、一瞬頭を押さえ、そのまま気を失ったように倒れた

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