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「体調はどうかね」
「お陰様で起き上がるくらいまでにはなりました」
半助、鉢屋と話してから早3日。
上半身を起こし、一人で厠に行けるくらいまでには回復していないが、付き添いで行けるほどには快復したA。
今はここ、忍術学園を率いる学園長、大川平次渦正がAのことを知るため自ら事情聴取に来た。
「わざわざ来ていただいてありがとうございます」
「いやなに、人伝に聞いても分からぬことがあってな」
「そうでしょうね。して、何を聞きたいのでしょうか?」
お互いの腹の探り合いに余裕なAは視線を逸らすことなく真っ直ぐと学園長を見る。
「うむ。お主は今来ている天女とは違う世界から来たと聞いたが、本当か?」
「はい、これは自信を持って言えます」
「ほう、聞かせてもらおうかの」
「まずこれは私の推測でしかないことを頭に入れて置いてください。まず、彼女が居た所は平成、だったんですよね?」
「そうじゃ」
「私の居た世界はそれはもう何年も前のこと。1番平和で争いも今のような室町時代よりも酷い世界でした。そんな世界から私は来たのですが、彼女は平成から来た。私の世界と彼女の世界は同じ世界ではありますが私の場合は彼女の世界よりも何年も先の未来の世界軸。同じ世界を持ち歴史を持っていますが、違うのはその各々の世界の時。いわゆるパラレルワールドに近いものから私と彼女は来たのでしょう」
「.......」
「.......」
「.......全くもって意味がわからぬ!」
「でしょうね」
「「だぁあああっ!!」」
ガタガタっと揺れる音が屋根裏と床下から聞こえる。
「.......ま、簡単に言いますと私と彼女は同じ世界線であって同じ世界線では無いということです」
「おお、俄然そちらの方がわかりやすいぞ」
「学園長先生」
「なんじゃ?」
「天女、とやらが来たのは今ここにいる彼女が最初ではないでしょう?」
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作者名:夢月 | 作成日時:2020年7月23日 15時