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「なるほど、先生方にここの生徒さんが異様に張り詰めた空気をしていたのはそういうわけでしたか」
Aに天女のことを話した半助と鉢屋。天女は14歳。見つけたのは六年生全員。その日から六年生のみがなぜか天女にまとわりつくようになったという。
「…天女さんがどうしてここに来たかは私もわかりませんが、少なくとも私はなぜここに来たか、それはわかります」
「…ご自分でお分かりになっているんですね」
「はい、こうして来るのは三回目になります。いずれも帰り方は死ぬか、天寿を全うするかです」
「…死ぬか、天寿を全うするか…ですか」
半助は今いる天女もそうして消えるしかないのかと話を聞きながら思っていた。
「まず私がここに来るには条件があります」
「条件…」
「…予期せぬ攻撃で死ぬ、ということです」
「…じゃあ貴女がここに来た時、血だらけだったのは」
「そうです、大規模な爆発に巻き込まれて死んだんです。一回目も二回目も死んだ時には怪我がそのままの状態でした」
「何をしていらしたんですか…？」
「私はこの時代でいう武士でした。君主のために戦っていました」
淡々とAは答えていた。鉢屋はAが嘘をついていないか顔をずっと伺っていたが半助の目を見ながらそらさずにこれが真実というような目をしていた。
「これは私の推測に過ぎませんが、天女さんは私とはまた別の世界からきたと考えるべきでしょう」
「別の世界から…」
「はい」
半助は正直、頭がパンクしそうだった。情報が情報なだけに、Aがここに来る前の条件、それは予期せぬ死。身近に感じている言葉にも関わらず、背筋は凍る。
そんな半助に気づきながらもAは話し続ける。
「天女さんがここに来る前の様子でなんて言ったか、覚えてますか？」
「え、確か…友達と歩いていたら突然、頭を殴られたみたいな痛みと共に気絶した。目が覚めたら六年生に会った…と」
事細かな言葉は覚えていないが、そう言っていた。
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作者名：夢月 | 作成日時：2020年7月23日 15時
