8話 ページ10
万事屋にお世話になり始めてから早1週間ほど。………びっくりするほど依頼が来ない。こんなに依頼が来なくてこの仕事は成り立っているんだろうかと不安になる程だ。
銀「あー……腹減った…」
力なく銀さんが呟く。
神「…誰のせいアルか!?」
銀さんの発言に神楽ちゃんが食ってかかるけど、いつもの威勢がない。それもそうだ。我が万事屋の家計は火の車。それもこれも、私と出会ったあの日銀さんは食費を全部パチンコに注ぎ込んでしまったせいだ。
ーーーこれではいけない。お世話になっている以上何とかして少しでも恩を返したい私は、一念発起した。
あ「私、働きます!」
銀「…あ?何言ってんの?」
あ「だって、ここにいたって依頼来ないじゃないですか。バイトでもしないと貴方達餓死しますよ?せめてもの恩返しに食費分くらいは私が稼ぎます。」
神「Aが働く必要ないアル。全部この天パが悪いんだから、こいつ働かせればいいアルよ!」
あ「でも…」
新「そうですよ!Aさんが気を揉む必要ないんですから。きっと銀さんが依頼の1つや2つ今にとってきてくれますよ。」
あ「……そうかな。」
てか新八君いたんだ。存在薄すぎて気付かなかった。
銀「いやいやいや。せっかくAが働きたいっつってんだから好きに働かせてやりゃいーじゃん!?銀さんも依頼取ってきたいけど今マジで腹減って動けねーもん、とりあえず動ける奴が働けばいいと思うわけですわ。」
神「お前マジでカスアルな。」
新「今に始まったことじゃないよ、神楽ちゃん。」
2人の冷たい視線が銀さんに刺さる。でもそんな視線を物ともしない銀さんは、やっぱり少し残念な人間なんだと思う。
あ「やっぱり私、働くよ!働き口がないかちょっと探してくるね!」
何か少しでも足しになれば…そう思いながら街中を歩く。
あ「…どんな仕事なら私でも出来るかな。」
元いた世界では、働いたことはなかった。人間と接触することを必要以上に恐れていたから。なぜこの世界で働こうという気になったかというと、銀さん達への恩返しが1番な理由ではあるけれど、どうやらこの世界に私以外の喰種はいないようだし、そして神楽ちゃんみたいに天人と呼ばれる人間以外の種族もたくさんいるから、私が特異な存在ではないということも大きく関係している。
あ「あっ…これ、いいかも。」
そうして歩いていた私は、1つの店の前で歩みを止めた。
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作者名:葉生姜 | 作成日時:2017年10月17日 21時