5話 ページ7
銀「……目、戻ったんだな。」
あ「えっ…?」
銀「とにかく…騒ぎになる前にここから離れんぞ。ついて来い。」
そう言って、彼が私に背を向けた。
あ「……行けません。ここのまま私は、消えます。ご迷惑をおかけしてごめんなさい。」
いくら暴走していたからといえ、私は彼女に手をかけようとしてしまった。銀髪の彼が来なければ確実に殺していた。……そんな相手と、一緒にいたいわけないでしょう?
申し訳なさすぎて、目を伏せた。
銀「うるせーよ。お前の意見なんか聞いてねぇの。とにかく行くぞ。」
彼は私の話なんて無視して、腕を掴み強引に前へ進んでいった。
あ「なんで…こんな…」
銀「文句だろうがなんだろうが後で全部聞くから今は黙ってな。」
あ「っ…。」
有無を言わせない彼の言葉に、私は口を閉ざすしかなかった。
新「あ、おかえ…うわっ!?どうしたんですか?血だらけで…」
銀「事情は後で話す。新八、悪いがお妙んとこから着物借りて来てくれ。」
新「わ、分かりました!」
メガネの彼が出ていった後、ソファに座らされた。
銀「……で、お前は何者なんだ?こうなっちまった以上洗いざらい話してもらうぜ。」
あ「…はい。」
銀「その前に、神楽お前もここに座れ。んな離れたとこにいられても銀さん気になっちまうだろうが。」
遠くで怯えたようにこちらの様子を伺っていた彼女を呼んで、彼の隣に座らせた。相変わらず、私の方を見てくれようとはしない。それはそうだ。なんたって、私は彼女を殺そうとした存在なのだから。せめて洗いざらい真実を話すことで少しでも…何かが伝わればいい、そんな思いを抱いて、私は口火を切った。
あ「私は…人間ではありません。種を喰らう者と書いて、喰種と呼ばれる生き物です。私のいた世界では、人間と同じようにこの喰種という生き物が存在していました。そして私たちの主食は……人間です。」
ゴクリ、と喉を鳴らす音が聞こえる。だからと言って口を挟む気はなさそうだ。
あ「人間が食べるような、この世界にも溢れている食べ物の数々は、私たち喰種の体質には合いません。せめて他に…何か食べられるものがあれば良かったのだけれど…」
こんな風に喰種というものを人間に語ったことが初めてだったため、私はいつの間にか泣きだしてしまった。
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作者名:葉生姜 | 作成日時:2017年10月17日 21時