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3話 ページ5

銀「Aっ!お前なんで泣いてんだ!?」


私たちのやりとりに気付いた彼が慌てた様子でこちらへ来た。晒し者になったみたいで恥ずかしい。


あ「いえっ…これは、別に何でもないんです!気にしないで下さい。」



新「銀さん、この方は誰なんですか?」



銀「あ?…あー……客?」



新「何で疑問系なんですか!?というか、お客さんほっぽらかして何やってんです!?すいません、お見苦しいところを見せてしまって。」



あ「いえ、なんだか微笑ましかったので大丈夫ですよ。」



神「全然気づかなかったアル。久々のお客さんネ!早く中に入るアル!」



あ「えっ?あ、うん…」



女の子に手を引かれて半ば強引に中に連れて行かれた。さっきまでブチ切れていた子と同一人物なのかと疑うほど、可愛らしい笑顔だった。



銀「……んで。どっから整理してくかね。」



いちご牛乳なるものを一気に飲み干した彼が一息ついてそう言った。



あ「そう…ですね。私にも何が何だか分からないもので、どう整理したらいいか…。」



銀「さっきここをあの世と勘違いしてたようだが、何?Aはどっかで死ぬような目にあったのか?」



どこまで詳しく話をしたものか…。



あ「あの……信じてもらえるかは分からないんですけど、私はこことは別の世界で暮らしていました。その世界で…私は確かに死にました。だからその、ここが変な話死後の世界なのかと思ったのですが…どうやら違うらしいですね。」



神「何アルかそれ!ごっさ楽しそうな話アル!」



銀「神楽、お前は黙ってろ。話がややこしくなる。」



新「でもそんな事ってあるんですかね。元いた世界で亡くなったというのが事実なのであれば、ここで生きているあなたは一体何なんですか?」



銀「まあそれが分かったら苦労しねぇだろうよ。本人だって何も分かっちゃいねぇんだ。」



あ「なぜ、生きているんでしょうね。生き絶える時に、確かに生まれ変わりたいと願いました。けれど、私は生前の姿のままここにいる…。」



銀「…病気かなんかか?」



あ「…っそれは…言えません。」



銀「ま、別に無理して聞こうとは思っちゃいねぇが。」



私は、死ぬ瞬間を鮮明に覚えている。幾度もクインケを突き立てられ、それでも簡単には死ねない。傷つけられて再生を繰り返し…そうしてやっと、生き絶えた。そんな惨めな人生を、この世界の誰にも知られたくはない。

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作者名:葉生姜 | 作成日時:2017年10月17日 21時

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